SIERRA TECHNICAL SERVICES社はカリフォルニア州テハチャピ(Tehachapi, CA)にあるスタートアップ企業で、ロッキード・
プロトタイプの機体は「5GAT」- Fifth Generation Aerial Targetと呼ばれており、動翼 – エレボンとラダー等 – のコントロール・サーフェース点検など幾つかの地上試験、両エンジンを同時にミリタリー出力までコントロールする試験等を済ませたようです。
機体エンジンはGE社製のJ85を退役したノースロップT-38タロンジェット練習機やF-5戦闘機から再利用し、動翼アクチュエーターはBoeing F/A-18戦闘機の物を使用しています。(先ずこれが出来る流れがあるというのが米国ですね。。。)
初フライトは今年第一四半期中に行われる予定です。
この機体は生産モデルで1機あたり$10million(約11億円)と非常にローコストであり、第5世代無人標的機としてのみならず、F-35などの有人戦闘機の「Loyal Wingman」- 忠実な僚機 – として有人ではハイリスクである危険なミッションや強行偵察等のミッションにも使用でき、低価格ゆえ「使い捨て」的な使用しても価格的に「痛くない」機体となっています。
比較する機体としては昨年初飛行したKratos Defense社のXQ-58A Valkerieがありますが、SIERRA TECHNICAL SERVICES社は5GATが速度性能でも機動性でも勝ると考えているようです。確かにエンジンはタロンで使用してたエンジンですのでSuper Subsonic飛行に問題は無さそうです。(超音速飛行のデザインはしていないとのこと。) これは5GATが国防省のDOT&T – Director of Operational Test and Evaluationからのミッション要求に超音速飛行の要求はなかった為とのことです。機動性は一時的(エンジン推力により維持はできない)であれば+7.5g/-2gに耐えることができるとの事で、使い捨てのステルス機として模擬空中戦に使用し、戦闘機パイロット達とのスパーリング相手としてロシアのSukhoi Su-57や中国のChengdu J-20などに対してどの様に対応するかを訓練することができます。
胴体内に武器を格納できるウェポンベイは備えていませんが、パイロンを取付け武器搭載も可能で、それ以外にも様々な電子戦機器、AI機器、ISR機器を搭載可能です。米空軍研究所(AFRL)は「Skyborg Program」でAIを使用したソフトウェア・ブレインで無人機をコントロールすることも検討しており、このプログラムに今後5GATが提案される可能性もあります。
SIERRA TECHNICAL SERVICES社はKratos Defense社のXQ-58A Valkerieの設計にも関わっており一部のパーツの製造も行っています。競合&パートナーといった関係で、米国ではよくあるスタイルです。今後、それぞれの強みを生かし両方の機体が「Loyal Wingman」として採用される可能性があります。
参照リンク:
https://www.sierratechnicalservices.com/