陸自次期戦闘ヘリコプターAH-X/NAHについて(2)

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そもそも戦闘ヘリって?
戦闘ヘリ、特に攻撃に特化したデザインのヘリコプターがデビューしたのは、ベトナム戦争です。AH-1コブラ、AH-64アパッチが代表的なものでしょう。ヨーロッパのメーカーもタイガー(ティーガー)やマングスタという機体を開発しました。

Tiger Helicopter Photo: Pixabay

これらの機体はタンデムシートというパイロット2人が前後に座る2人乗りのヘリコプターで戦闘+偵察に特化しています。これ以上の人は基本的には乗れません。(軽トラックの荷台に乗る感じで、機体の外側につかまってという形で4名ほどになる場合もありますが、それは置いといて。。。)

これらのヘリコプターの基本的スタイルは、機首に機関砲が取り付けられており、スタブウイングというの機体の両脇に小さな羽がついています。このスタブウイングに左右2-3箇所のパイロンがあり、そこにロケット弾、対戦車ロケット、自衛用の空対空ミサイルを取り付けることができます。

活躍の場は、その豊富な武装を活かして対戦車攻撃、対ゲリラ攻撃といった対地上攻撃に使用されます。陸上の部隊を、味方で有れば支援する力となり、敵に対しては脅威となり得ます。

陸続きの国境を持つ国にとっては、有事の際に隣国から攻めてくる際、地上部隊を空から攻撃もしくは支援するために、非常に重要な戦力となります。

戦闘ヘリが圧倒的に有力な戦場は?
ヘリコプターは低速で飛んだり空中でホバリングすることができますので、ジェット機のように動き続けていなければならない、もしくは目標に対して対峙する時間が限られている飛行機にはできない任務に使用されます。例えば、レーダーに反応しない山の谷間を(例えば同量の武装をしたジェット機では難しい高度を)這うように飛び(匍匐飛行し)目標に近づく、もしくは空中でホバリングし監視や待ち伏せ攻撃ができる、長時間一定の空域にとどまり対地攻撃なり地上支援を行うという任務です。

この得意分野は逆に弱点となります。ジェット機に対して速度が遅いため、低速での飛行、ホバリングというのは地上の敵から見れば格好のマトとなり得ます。スティンガーミサイルに代表される、歩兵が肩にかけて打ち上げることができる携帯型対空ミサイルが開発されて、これは戦闘ヘリにとって脅威となりました。

湾岸戦争のイメージで、山もない平坦な砂漠に敵がいる…ようなケースで有れば、地上の対空兵器というのは容易に探し出すことができ、脅威となる前に排除することができます。敵も隠れる場所がないからです。山であっても低木の人が隠れることができないような岩山で有れば、地上の脅威というのは、センサーですぐに探知できるため、容易に脅威を排除できます。

そこまでです。これ以外の状況になると戦闘ヘリは非常に脆弱になります。

人が隠れることが出来る環境が地上にある時点、例えば、人が隠れることが出来る木々や建物がある場合、携帯型対空ミサイル等を持った歩兵にも先手を打つチャンスが出てきます。

このように、ある程度の制空権を確保された環境で有れば良いのですが、それ以外の環境になると極端に活躍出来る場所がなくなるのが戦闘ヘリです。

全5回 陸自次期戦闘ヘリコプターAH-Xについて(3)に続く