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NMA振り出しに戻る 全く別機体の開発?(一部更新2020/2/3)

振り出しに戻る。。。ようですね。

昨年色々とどうなるの?書きましたが、NMAに関してもFSAに関しても振り出しに戻るというところです。23日付のREUTERSの記事(最後にリンク記載)などを参考にメモってみます。
NMAとFSAに関しては先ず:
● NMAのマーケットの変化
● 737後継機 – FSA
をまとめると、今後どのような機体をゼロから検討し直す必要があるのか少し見えてくるかと思います。

NMAのマーケットの変化
2019年は台風が猛威を振るった年でしたが、ボーイングにとっても「台風」が吹き荒れた年でした。737MAXの墜落〜飛行停止〜生産停止と続きました。それ以外にもA321XLRという「台風」が6月にローンチされ、多くの受注を掻っ攫っていきました。アメリカのメジャーなエアライン2社もNMAの開発を要望していましたが結局A321XLRに発注しています。年末はユナイテッド航空も50機発注というニュースでNMAにトドメを刺した形でした。

NMAに関して検討開始時期は何時?となりますが、確かに何度かこの機体サイズの検討はありましたが、「最新」のNMAプログラムは2年+程前になります。前々回のパリエアショー 辺りだったかと思います。ほんの2年ですが、NMAが闘うマーケットは非常にニッチな部分でしたので、機数も限られたエリアでした。MoMーMiddle of the Marketとも言われる部分で、ワイドボディー機(787や777など)とナローボディー機(737など)の間の部分です。日本では馴染みの無い機体サイズですね。(ANAが購入予定のA321LR Airbus Cabin Flex (ACF)バージョンは近いクラスかな?)

機体数も限られているので、NMAの話が出た時にエンジンメーカーは、機体に対してエンジンの選択肢を一社のみであれば開発に参加するというスタンスを取る会社がいました。他社と半分となってはプロジェクトに参画するメリットが無いと見たわけです。それだけ機数が限られているマーケットということです。(因みに、NMAから一抜けたと言ったのはロールスロイス社です。残ったのはGE/Safran/CFMとPratt & Whitney社でした。)

そんな元々機体数も少ないエリアだったのにA321XLRが昨年猛威を振るいましたので、残ったマーケットを見ると「あんまり余ってない」- NMA – Not Much Availableとなってしまいました。

「どうしようどうしよう…エアラインは欲しいというけど、株主にメリットのある機体価格では作れないし、そんな機数も残ってない…」と悩んでいるうちに、NMA推進派だった上層部も737MAXの問題で退陣し、新しい経営陣になって初めて出てきたNMAネタは「back to the drawing board」(図面設計に戻る)〜振り出しに戻るということのようです。

<2020/2/3更新↓>
737のSingle-aisleマーケットにおけるシェアは43%で、Airbus A320シリーズにやられまくっているというのも、このマーケットを取り返すためにNMAは振り出しに戻るとしたのでは?という見方もできます。737MAXはAirbusの勢いに対抗する為、新型機の開発よリ期間短縮等が可能と見て投入されました。当時からFSAの開発は検討されていました。

● 737後継機 – FSA
昨年からの一連のMAX騒動で、今年夏頃に航空局からの認可を受けたとしても、エアライン、パイロット&フライトアテンダント組合、利用客の信頼を失った現状。ボーイングは737の後継機をどうするかを検討しなければなりません。
(ちょっと意地悪に、細かいこと抜きにすると)1960年代に初飛行した機体です。降着装置の高さが低く、機体がシャコタンなのは初飛行した1960年代はエアラインがターミナルからのボーディングブリッジでの機体接続よりも、乗客をタラップ(階段)で地上へ乗降りさせることを要求していた為、そのような仕様となりましたが、これが今では効率の良い大型のエンジンを取り付けることができない原因や、その他の改良を加えることが難しい原因となっています。

737は幾つかの世代/シリーズに分かれています。最新モデルが737-7などの通称「MAX」(ちなみに航空局への登録にMAXなんて言葉は使用されていません。)、その前の世代が1997年に運用開始された737-600から始まる「NG」シリーズ、その前は737-300で始まる「Classic」(クラシック)、初代が737-100で始まるオリジナル「Jurassic」(ジュラシック)です。

それぞれのシリーズが、プログラム・ローンチから製造終了まで19年〜26年間と続いてきていますので、2011年にプログラム・ローンチした「MAX」も20年と考えると2030年代までは製造が続けられる可能性もありますが、プログラムが終わる可能性や、中国などに機体プロジェクトを売り、ボーイングは新機種を製造する可能性もあるでしょうか?

737MAXで問題となったMCAS飛行制御システムなどの教訓から、新たな視点で開発されることがわかります。Boeing社CEO Dave Calhoun氏は:
“I have had discussions with the FAA, we might have to start with the flight control philosophy before we actually get to the airplane. Because the decision around pilots flying airplanes, that’s a very important decision for the regulator and for us to get our head around.”
と述べており、新しい機体の開発において、飛行制御のソフトウェアに関してこれまでとは違ったアプローチで取り組むとあります。これまでとは逆の考え方というと、エアバスよりの飛行制御に近くなるのでしょうか? エアバスの設計は操縦翼面の動きを制限または増強することにより、飛行制御システムが航空機が規定の姿勢や速度にならないように保護します。一方、ボーイングのフライバイワイヤ設計(777および787)では、パイロットが最終的な制御権限を保持し飛行制御システムの制限を無効にすることができます。

機体の開発要素ですが、以前の記事で書きましたが、ボーイングはこのプログラム・ローンチから運用開始までの期間が(新型機開発の場合)通常6〜7年ほどかかるのですが、これを短くする製造技術を確立しようとしてきました。(←これも今回のMAX騒動でFAAの認可項目と作業が変化し、都合良く行かないと思いますが、、、)NMA開発で蓄えられてきた、ローコストでの機体製造方法コンセプトや先進素材、機体構造デザイン、機体システムなどは、次期新機種に応用することができます。

NMAとFSAを両方開発することは、体力的に難しいことだと思います。NMA向けに開発された技術を活かしながら、NMAとFSAに変わる全く新しいFNA – Future New Airplane…のような呼び方の新機種開発され、737と757の部分を十分カバーできる機体となるのでしょうか。。。

ここまで書いて、え?A321作れって?ですよね。昨年NMAの話がどうなろうとエアバスは対抗する機種を揃えているって自信満々でしたけど、本当にそうですね。。。

日本の航空機産業にとってはどうなのでしょうか?ボーイングが一番ターゲットにしているマーケットはアメリカと中国ですから、その両国にメリットとなるように動いていくと思います。NMAで昨年日本国内の企業で”アタリ”を感じた企業は少なかったのように感じます。米国内での製造や日本国外での製造を選択しなければコストダウンを達成できない状況だったのでは無いかと思いますので、機体規模がNMA-FSAの「合いの子」であれば引き続き厳しいプロジェクト参画合戦となるのでは無いでしょうか?

参照リンク:
https://www.reuters.com/article/us-boeing-737max-nma/boeings-new-ceo-orders-rethink-on-key-jetliner-project-idUSKBN1ZL2RM
https://aviationweek.com/air-transport/boeing-heads-back-drawing-board-nma