ロシア国防省はロシア軍が開発中のステルス無人攻撃機「Sukhoi S-70オホートニク(Okhotnikもしくは”Hunter-B”)」が9月27日にSu-57ステルス戦闘機と飛行する様子を動画にて公開しています。
この無人攻撃機の運用方法1つとして、有人戦闘機との連携運用で「Loyal Wingman」化する構想があります。昨年、ロシアの第五世代戦闘機であるSu-57の垂直尾翼に、Su-57ステルス戦闘機とS-70無人攻撃機とみられるシルエットに稲妻がはしっており、両機がリンクして運用されることを思わせるインシグニアが描かれていました。将来的には両者がセンサー等の情報を共有し、共同で作戦する研究が進められています。
どの場所で飛行されたかについての正確な情報はありませんが、恐らく初飛行が行われたアストラハン州の第929チカロフ国立テスト飛行センターではないかと思われます。
今回S-70無人機は自律飛行で30分ほどのフライトを行いました。有人無人機間での通信が行われたかは不明です。
動画では2機が非常に近いフォーメーションで飛行している姿を見る事ができます。同時にS-70無人機が非常に大型の機体である事がわかります。
ステルス戦闘機として、その性能に限定的な部分があるSu-57ステルス戦闘機に対してこのS-70無人機が「Loyal Wingman」としてセンサー情報をSu-57戦闘機にフィードする事で、Su-57戦闘機が相手脅威十分な距離を保ち、戦域データを収集し、エンゲージできるようになる事が目的の1つにあります。(これらの有人無人機のチームは衛星データリンク無し(ロシアの不得意な分野でもあり)で直接連携することが可能のよう。)
この無人機の開発計画は「Udarno-Razvedyvatelnyi Bespilotnyi Kompleks(英語:Strike-Reconnaissance Unmanned Complex)」と呼ばれています。以前に「MiGスキャット」というステルス無人攻撃機計画があったのですが、中止されていました。それがステルス無人攻撃機「S-70オホートニク」として再開されたものです。
機体重量は20トン近くあるとも言われており、航空自衛隊F-2戦闘機の自重(9.5ton)の二倍以上あることから、かなり大型な無人機であることがわかります。
機体形状はアメリカ海軍でテストされていたノースロップ・グラマン社のX-47B無人攻撃機(UCAV)や、イランに鹵獲されたRQ-170センチネルに非常に似ています。
ステルス性に関しては、X-47Bがエンジン排気口を平たくルーバー式の排気口にすることで、レーダー反射面積(RCS)の軽減と排気熱対策を行なっていたのに比べて、S-70は通常の非ステルス機と同様のエンジン排気口となっており、MAKS2019のブースでルーバー式の排気口となっており、どうやらエンジン排気口に関してはテスト飛行のためのようです。
武装に関しては、ステルス性確保の為、機体に2つのウェポンベイが有り、空対地ミサイルや各種誘導爆弾を最大2トン搭載できるようです。
このような無人戦闘攻撃機に関しては、アメリカ、ロシア、中国、欧州で研究が進められています。
日本でも将来戦闘機開発の運用コンセプトの一つに無人機との連携した戦闘行動を取り上げたり、川崎重工が数年前の米空軍コンファレンスのブースで無人攻撃機(UCAV)の動画を流していたことなどがインターネットで取り上げられています。「攻撃」という言葉がつく研究は、刺激しない為に表に出ませんので、あまり情報はないですが、日本でも一部研究が行われていると思います。