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Boeing 737NGで「Pickle fork」にクラックが見つかる (1)

 FAA(連邦航空局)はBoeing 737NGの機体にクラックが見つかったとして同型機を運用するエアラインに向けAirworthiness Directives (ADs、耐空性改善通報) を出しました。クラックが見つかった場所は「Pickle forks」と呼ばれる胴体と主翼接合部に使用されるジョイント部位で、飛行中に同部位を曲げようとするストレス、トルク、空力に耐えている部位となります。
今回クラックが見つかったのは、旅客機から貨物機(フレーター)へのコンバージョンを行う作業中に見つかったようです。このような貨物機への改造はある程度飛行時間がある機体が使用されます。実際、今回の機体は元々インドのJet Airwaysで使用されていた機体で、Amazon向けの貨物機として使用する為に、コンバージョン作業を行なっていました。飛行時間は33,500回以上のフライトをログしている機体のようです。
このクラックが見つかった部位で同じ部品を使用しているのは737型機でも「NG」と呼ばれるモデルのみで、古い「クラシック」シリーズや、「Max」シリーズは含まれていません。また、海軍で使用されている「P-8 Poseidon」(NG型の派生機ではあるが)も対象ではありません。

ある程度飛行時間がある機体とはいえ、設計では90,000回以上のフライトに耐える設計といわれており、今重要な部位が破損した場合、航空機の飛行に重大な影響を及ぼす恐れがあります。(この部位はsafe life設計が適用されてるパーツですので、90,000回というのは少ない数値で、それよりも頑丈に作られています。)ボーイングがFAAへ早期に報告した背景は、最初の機体のクラック発見だけでなく、他の複数の機体で同様のクラックが見つかった為です。

737の機体には「Pickle forks」が4箇所あり、これに要する点検と、クラックが発見された場合の同部品の交換作業は大掛かりなものとなります。

今回のADでは、Boeing 737 NGの機体で、飛行回数が22,600回を超える機体は、1年間の間に検査を行う必要があります。30,000回を超える機体については、ADの発行から1週間以内に検査を行う必要があると書かれており、非常に緊急度の高いことがわかります。
通常、NGシリーズの機体は年に2,000回ほどの飛行を行っていますので、今回のAD発行の影響を受ける機体は導入から10年程経った機体が対象となると思われます。これを履行しない場合、機体は飛行することができなくなってしまいます。
737 NGの機体は、分解してクラック等のチェックを行う重整備を通常、運用開始から6年、12年で行います。なので、今回は1回目の整備では見つからなかった機体もクラックが発生している可能性があります。

飛行する機体にクラックが発生するのは普通のことで、離着陸を繰り返し、様々な条件下で気圧の変化から機体は膨張と収縮を繰り返しており、機体の金属材料はストレスと疲労を経験しています。その為、機体の重要な部位はこれらの条件を十分念頭に置いた余裕のある設計「fail safe」「safe life」設計が適用されています。今回クラックが起きた部位も、それを念頭に設計されてはずなのにクラックが発生してしまったという訳で非常に重大な問題であるとわかります。

原因として考えられるのは:
● 使用されたアルミ材料(7075T3)の欠陥 ー これであれば、材料ロット番号で問題のある機体をある程度トラックできます。
● 製造プロセス、製造方法の問題 ー であると、問題はさらに大きな問題になる可能性があります。
● 設計上の問題 ー 疲労試験が行われているはずで、一番可能性が低いですが、無いとも言えない。
これらが考えられます。原因が早く分かるといいですね。

これは飛行停止中の737Maxの代わりとして、稼ぎ頭の737NGを運用するエアラインの悩みのタネとなりそうです。

続く→「Boeing 737NGで「Pickle forks」にクラックが見つかる (2)」

ニュース参考:
https://komonews.com/news/local/exclusive-unexpected-cracking-found-on-critical-boeing-737ng-equipment
http://rgl.faa.gov/Regulatory_and_Guidance_Library/rgad.nsf/0/fe865e26820788df86258457005ea18e/$FILE/2019-15-07_Correction.pdf