三菱重工業とカナダ・ボンバルディア社 CRJ事業に関する事業譲渡契約を締結

三菱重工業およびカナダ・ボンバルディア社が、6月25日、カナダエア・リージョナル・ジェット(CRJ)事業に係る事業譲渡契約を締結したというニュースがありました。これは6月上旬にMHIとBombardier両社が協議中であることを認めていました。締結完了するのは来年上半期中となります。
CRJはこれまで1300機の機体を、世界中の130以上の客先へ納入してきました。今後も2020年までCRJの生産は続きます。
今回の契約には、北アイルランドのベルファストとモロッコにある機体生産工場は含まれていません。ベルファストの工場ではA220の翼の製造、モロッコの工場では機体部品の製造が行われています。どちらもCRJのプログラムには関係ないためです。しかし、Bombardierはこれらの工場も販売する方向で動いています。MHIが購入するのではという噂もありました。それ以外では、中国系の企業が候補に挙がっていましたが、どうなるのでしょう。

三菱重工業ウェブサイト プレスリリースより:

◆ 三菱重工業は、カスタマーサポートサービスの強化により、リージョナルジェットビジネスを変革するポジションに
◆ 北米を中心に、航空機事業を拡大する三菱重工業のグローバル戦略における重要な一歩
◆ ボンバルディア社は、航空機事業改革を完了し、ビジネスジェット事業に再注力

三菱重工業およびカナダ・ボンバルディア社は、6月25日、カナダエア・リージョナル・ジェット(CRJ)事業に係る事業譲渡契約を締結しました。三菱重工業は、現金5億5,000万米ドル(クロージング払い)を支払い、加えて、約2億米ドルの債務を引き受けます。他方、三菱重工業は、本契約に基づき、約1億8,000万米ドルと評価されるCRJ保有信託プログラム(Regional Aircraft Securitization Program: RASPRO)(注)の受益権を継承します。

本契約により、三菱重工業は、CRJシリーズに関する、保守、カスタマーサポート、改修、マーケティング、販売機能と、型式証明を継承します。これらには、サービス・サポートネットワーク拠点(カナダ・ケベック州モントリオール及び同オンタリオ州トロント)とサービスセンター(米国・ウェストバージニア州ブリッジポート及び同アリゾナ州ツーソン)を含みます。
この事業承継は、三菱重工業の既存の商業航空機事業、特に、Mitsubishi SpaceJetファミリーの開発、製造、販売およびカスタマーサポート機能を補完するものであり、ひいては三菱重工業の将来の成長につながるものです。

三菱重工業 取締役社長の泉澤清次は、「先般のパリ航空ショーで発表した通り、当社グループはお客様である航空会社に新たな収益の可能性をもたらすと共に、一人一人の乗客の皆さまに新しい旅を提供するために努力しております。今回の事業承継は、私たちが強靭でグローバルな航空機事業を構築する戦略の中で、重要な一歩です。これにより、航空機に関連した世界トップクラスの保守・修理・オーバーホールに加え、エンジニアリングからカスタマーサポートに至る一連の機能を確保でき、三菱重工グループの機能を強化することができます。

CRJプログラムは非常に優秀な人材によって支えられてきました。三菱重工業が日本・カナダそして世界に有するインフラやリソースと組み合わさることで、将来のMitsubishi SpaceJetファミリーの成功に資する有効な一つの打ち手になると確信しています。三菱重工業はカナダにおいて数十年にわたって事業を営んできた歴史があり、私は、この事業承継がカナダにおける三菱重工業のプレゼンス向上に寄与するとともに、三菱重工業の成長戦略における重要な一歩になると思っております。」と述べました。

ボンバルディア社 社長兼CEO、アラン・ベルマール(Alain Bellemare)は、「私たちは、当社の航空機事業改革の完了を表すことになる、今回の事業譲渡契約を発表することができ、非常に喜ばしく思います。

三菱重工業による本プログラムの継承は、顧客である航空会社、当社従業員、株主にとって最良の選択であると確信しています。我々は、円滑に事業譲渡を進めていくことをコミットします。

私たちの航空機事業の改革が完了した今、我々には明確な未来への道筋と強力なビジョンがあります。今後は、二つの主力事業、すなわち、グローバル鉄道事業と、比類ない顧客体験を提供する世界的なビジネスジェット事業に注力してまいります。」と述べました。

カナダ・ケベック州ミラベルのCRJ製造拠点はボンバルディア社に残ります。ボンバルディア社は部品や予備部品の供給を継続し、現在のCRJの受注残機体は三菱重工業からの委託を受け製造していきます。CRJの生産は、受注残機体の納入後、2020年後半に終了する予定です。
(8/5/2019更新 5機のキャンセルを受け、現在残機数 36 機となっています。)

また、ボンバルディア社は、合計約4億米ドルになる信用保証や残価保証等の関連債務を残します。この債務額は、固定されていて、将来の残価等により変動するものではなく、向こう4年でボンバルディア社が支払っていきます。

今回の事業譲渡契約は、各国当局の審査とクロージング条件によりますが、2020年上半期にクロージングする予定です。また、本契約には、一定の条件により、三菱重工業が解約金を支払う旨、定められています。

  • RASPRO:CRJ販売促進のために設立されたCRJ保有信託プログラムであり、過去にリースした機体の残余価値が信託されているもの

ボンバルディア社について

68,000人以上の従業員を抱えるボンバルディア社は、輸送機器業界の世界的リーダーであり、革新的で画期的な航空機や鉄道システムを生み出しています。乗客の快適性、エネルギー効率、信頼性、安全性の新たな基準を打ち立てる、世界最高水準の搭乗体験をもたらす製品とサービスを提供しております。

カナダのモントリオールに本社を置くボンバルディア社は、28カ国に製造・エンジニアリング拠点を有し、また、ビジネス航空機、商用航空機、鉄道システムに関する幅広い製品とサービスを提供しております。ボンバルディア社の株式はトロント証券取引所(BBD)で取引されています。 2018年12月期において、ボンバルディア社は、162億米ドルの収益を計上しました。同社は、2019 Global 100 Most Sustainable Corporation in the World Indexとされています。その他のニュースや情報はbombardier.comで確認できます。また、Twitter@Bombardierでフォローすることもできます。
資料ダウンロードリンク:
https://www.mhi.com/jp/news/story/pdf/190625.pdf