Bell 360 Invictus 米陸軍将来攻撃偵察機FARAコンセプト公開(2020/2/5一部更新)

 

Bell 360 Invictus Image: Bell Flight

ベル社はニュースリリース、米陸軍の将来型攻撃偵察機(FARA:Future Attack Reconnaissance Aircraft)プログラム向けの機体コンセプトを公開しました。他の候補メーカーのコンセプトと比べるとコンベンショナルなデザインとなっています。

<2020/2/5 更新↓>
BELL社が新しい動画を公開しています。

来年競合2社に選ばれた場合、製造開始して初飛行は2022年の秋を目指しています。

このBell 360 Invictus「インビクタス」は、現在開発中で2015年に初飛行し飛行試験を現在も行なっているBell 525 Relentlessのローターシステム技術を使用するようです。Bell 525 Relentlessは陸上と沖合の油田との間の人員輸送を主な目的としている16人乗りの機体です。

Bell 525 Relentlessと比較すると、2人乗り攻撃偵察機としてBell 360 Invictusは小さな機体サイズとローター径となります。ローターブレードの数も5→4ブレードとなるようです。これは陸軍のFARAへの最大全幅40ft(12m)を満たす必要があるためです。(*市街地など都市型の戦闘での運用時を考慮している為。)

Bell 525 Relentlessは試験飛行で200kt(371km/h)を記録しており、Bell 360 Invictusは185kt以上が可能であるとしています。陸軍はFARAの巡航速度要求を180ktとしています。

Bell 525 Relentless Image: Bell Flight Twitter photo

機体には小さな翼がついており、これにより180kt巡航時の揚力の50%を生み出すことができるとのことで、メインローターを推進力に振り分けることが可能となり、高速飛行が可能と見ています。

戦闘行動半径は135nm(250km)+90分の作戦行動時間が可能で、OGEでのホバリングは4,000ft@35℃(95°F)が可能のようです。

コンセプトでは、高速飛行を可能とする為に、機内(ウェポンベイ)収納式の武器ラックが機体左右に付けられ、メインローターはシュラウド(カバー)で覆われており、降着装置は引込み式、テールローターはダクテッドファンが傾けて取り付けられています。

Bell 360 Invictus Image: Bell Flight

テールローターがダクテッドファンである事により、ホバリングが安定し、障害物との衝突の危険性が高い地上近くでの機動の安全性に寄与します。BELL社の機体では初めての採用となるかもしれません。

機体後部に付いている水平安定板ですが、フライ・バイ・ワイヤー飛行制御システムにより、飛行中、水平安定板が最適な角度にコンスタントに調整され機体姿勢を制御することで機体の抗力を最小限にするシステムが搭載されるとのことです。(これはCollins Aerospaceと共同開発されるフライト制御システムのようです。)

また「Supplemental Power Unit」という特許志願中の補助動力装置に関しても検討されており、詳細はわかりませんが、水平飛行の際に出力を増大させる仕組みを搭載することが検討されているようです。

ベル社はBell 360 InvictusにおいてBell 525 Relentlessの技術を使用する事により、大幅なコストダウンが可能と見ており、対抗するSikorsky S-97 Raider等で使用される二重反転式ローターシステムの複雑なローターシステムで発生するコストに対抗したいという狙いのようです。(逆に、陸軍のFLRAA:Future Long-Range Assault Aircraftプログラムでは、V-280 Valorという複雑な駆動システムを使用したティルトローターシステムを搭載した機体で提案中です。)

従来のヘリコプター仕様をモダンな形で提案したBell 360 Invictus、ステルス技術が反映された試作偵察攻撃ヘリコプターであったRAH-66 Comancheに似ていますが、ステルス機では無いようです。低価格で高速なこの機体がどのような評価を受けるのか、来年の決定(先ずは2社)を待ちたいと思います。

 

将来攻撃偵察機FARAに関して

 2020年度会計で(議会の承認が必要ではあるが)予算化されたFVL計画は4項目からなっており、それらは将来型攻撃偵察機(FARA:Future Attack Reconnaissance Aircraft)、将来型無人機システム(FUAS:Future Unmanned Aircraft System)、将来型長距離強襲機(FLRAA:Future Long Range Assault Aircraft)、モジュラー拡張システム構造(MOSA:Modular Open System Architecture)となっています。

この中で計画が進行しているFARAプログラムに関しては、2019年4月に最終提案要請が出され、2020年3月に競合2社が選出され試作機の製造、最終選定された1社が生産開始を2024年に行い、2028年までに部隊へ引渡しすることが計画されています。これは既に退役したBell OH-58D Kiowa Warriorsの後継機種となります。

現在、FARAには他に4社(AVX Aircraft, Boeing, Karem Aircraft, Sikorsky)が候補となっていますが、ベル社はその1社で、統合多用途(JMR:Joint Multi-Role)プログラムには、ティルトローターのV-280で参加していますが、FARAプログラムには通常ヘリコプターのBell 525リレントレスを小型化した機体を提案する計画でした。本ニュースがその最新情報となります。

参考リンク:
https://www.bellflight.com/products/bell-360
https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2019/10/2/bell-collins-aerospace-unveil-new-scout-helicopter-design