737Maxの墜落事故をきっかけに明るみに出た、FAA航空機安全検査官検査員が無資格で認証を行った可能性が疑われています。
そもそもこの疑惑とは一体何かという事について、ニュースで色々と断片的に見ていると、わかりにくいようであれば、このブログで少し分かっていただければ幸いです。
今回の737の墜落事故(ライオンエアとエチオピア航空の件)は最終的な原因はまだ分かっていません。ただし、それがパイロットのミスであっても、鳥がAOAセンサーにぶつかって(バードストライク)壊れたのであっても、737の機体に付けられているMCASというシステムが関係しており、その装置を中心に調査がなされています。(このMCASについては以前書きましたので、ご覧ください。)
今回の問題は「墜落」をきっかけに、明るみに出ました。墜落がなかったとしても大問題というレベルです。
今回は:
● 飛行機ごとのトレーニング について簡単に説明
● どんな問題なの? について
● さらにどんな問題に飛び火する可能性が?(続く記事)
と書きます。
● 飛行機ごとのトレーニング
旅客機を操縦するパイロットは、その機体ごとにトレーニングを受ける必要があります。機種限定(レーティング)と言われるものです。(細かいルールは国によって違う部分もあります。)
例えば、777であればその機体限定の免許を取る必要があります。737もそうです。
しかし、同じ737でも色々なシリーズやバリエーションがあって、これまで737-100、-200、…-800、-900と現れてきました。その最新型が今回の737「Max」シリーズです。(737の歴史はWiki見てください。)
ただし、システムは変わってきましたので、新しいシリーズに変わる際に、変更点などについて学ぶ必要があり、移行のためのトレーニングが必要です。このトレーニングの費用や、お客さんを運ぶパイロットがトレーニングに時間を割くわけですから、その時間はエアラインにとってコストです。ですから、できる限り少なくしたいと思いますよね?じゃあ、誰がそのトレーニングの内容を決めるの?ってことです。
● どんな問題なの?
一つ目の問題:
米上院商業科学交通委員会は、737Maxの墜落事故について、米連邦航空局(FAA)が航空機の認証に当たって無資格の航空機安全検査員が認証にあたったとする複数のFAAスタッフによる内部告発があったことを発表しました。
その内部告発では737Maxの航空機評価グループ(Aircraft Evaluation Group:AEG)に携わった複数のFAA職員が適切な訓練を受けておらず、かつ有効な資格を受けていないという情報があるとのことです。
このうちの複数のスタッフは、フライト標準化委員会(Flight Srandardization Board:FSB)にも関与したとの情報もあります。
ちなみにAEGはFSBを構成して、墜落事故を起こした737Max8を評価するほか、パイロットの型式限定要件、最低限のトレーニングに関する推奨事項を作成するなど、同型機の認証に重要な役割を果たしてきた組織です。
具体的には、航空機安全検査官の訓練および認証の欠如、さらにはそうした無資格の航空機安全検査官がFSBに参加したことで、事故原因と目されているMCASの不適切な評価につながったのはではないかと懸念を示している。
さらに、この無資格の航空機安全検査官が737Maxの認証に携わったことについて、FAAは昨年8月には問題を把握していたのではないかという疑惑も出ています。
このようなことがあると、想像力豊かな人は、ボーイングに偏った有利な内容でトレーニング内容を組み上げたりする…可能性もあると感じますよね?ボーイングに有利=お客さん(エアライン)が必要とするトレーニングの時間を他社よりも少なくすれば、その飛行機を導入してもらう可能性が高まる…なんてことも可能です。
この問題の他への影響は?737には日本企業は関わっていないので、ダメージは少なくても、それ以外の機体への影響と日本への影響は?に関しては、続きの記事にします。
参考リンク:今回の問題に関して、FAAの声明文です。この後、声明文のアップデートもありました。
上記記事の参考情報リンク:
https://www.faa.gov/news/media/Chairman_Wicker_Letter.pdf