引き続き、まだ存在しない飛行機について、、、
NMAはNew Midsize Airplane の略で、ボーイング次世代中型ジェット旅客機として757(と767)の後継として検討が続けられている機体です。
どんな構造の飛行機なのか、計画のGo/NoGoが日本の航空機産業にどのような影響があるのか、書いてみたいと思います。
NMAの機体規模は、客席が200〜270席、航続距離は4,000-5,000nm (7,400-9,300km)を飛行可能な機体で、ボーイング737MAX10(一番大きいモデル)とボーイング787-8(一番小さなモデル)の中間に位置する機体です。
客席の配列(Seat Arrangement/Passenger Cross Section)は2-3-2の配列が予想され、単通路の機体に比べ、客の機内への搭乗もスムーズになります。
787や777の開発当時は旅客を運ぶと同時に、十分な貨物室をエアラインは好みましたが、今はエアラインによって変わりますが、このNMAを使用する路線を見ると旅客のためのスペースを優先したデザイン(CASM King※)をエアラインは求めているため、NMAは貨物室を最低限にしたデザインとなるのでは無いかとも言われています。ですので、787や777は胴体を輪切りにすると、綺麗な丸なのですが、それがNMAだと客室のある上半分は丸いのですが、貨物室がある下半分はちょっと潰れたような、フラットな形状になるのでは無いかという予想もあります。
そうなると機体は、与圧の観点から理想的な円の形では無くなる為、強度の面で維持できる設計が必要になり、787のような複合材となるのか、それとも777Xのような胴体はアルミ、翼は複合材となるのか気になるところです。
数年の間に「アルミなんじゃないか?」「コンポジットだ」「やっぱりアルミかな?」ってな感じです。
コンポジットはアルミよりも高額になる傾向にまだある為、なかなかターゲットの価格帯に持っていける目処が立たないのではないでしょうか。
価格に関しては、一部のアナリストの情報では、エアラインは65-75億($1=100円として)ぐらいを希望しているのに対して、ボーイングは100億ほどの価格が下限だと考えているようです。あまり低くするとプロジェクトの意味が無く、車業界で言えばトヨタが軽自動車ばかり作るようなイメージになります。やっても儲からないでしょ?
ちなみに、ボーイング787が、上の為替例で115億ぐらいになります。なので、+15億で、NMAの航続距離の5000nmよりも遠く7,250nm飛べ、貨物も十分に搭載できる飛行機を手に入れることができます。
ボーイングは飛行機を作る際のマージンは25%程を考えていますので、100億の飛行機を作るコストは75億程です。既にエアラインが考えている価格で販売することは不可能です。
価格帯的にはその間の80億ぐらいになるのではという予想もありますが、それでも25%のマージンは61億です。737でさえ50-80億の価格帯(モデルによる)で販売されていますので、なかなか厳しいところといえます。
販売した後のアフターマーケットのサービスも鍵です。胴体の材料に関して先にふれましたが、コンポジットにした場合の、コストというのは実はエアラインも2012年前後からはじまった787以外に前例がなく、NMAを使用するエアラインも現実的にメンテナンスにかかる費用を予想することが難しいと思います。
NMAが「ビビッと」こない問題点は:
● コンポジットが金属よりも高いということ
● エアラインもどのような飛行機が今後ベストなのか決めきれていない。
● 「CASM」優先ので、貨物搭載能力にはあまりこだわらないエアラインもいる。
● 逆に、フレキシブルに貨物も旅客も十分に対応できる機体をほしいエアラインもいる。
このNMAの日本の航空機産業への影響はどうでしょうか?
→ボーイング新中型機(NMA)の状況 (3)
→ボーイング新中型機(NMA)の状況 (4)
(記事の情報参考は下記のリンク)
Flight International July 03 2018 「Delta details talks with Boeing on NMA」
Flight International Feb 05 2019「No NMA launch in 2019: Muilenburg」