次期大統領専用機1号機の改修作業始まる

 ボーイング社は米国テキサス州サンアントニオの施設で、2機ある747-8機の初号機の改造を開始しました。

2機の747-8機は改造されたのち、現在米国空軍(USAF)が運用しているVC-25Aに代わり、Air Force Oneとして知られる大統領専用機となります。現在使用しているVC-25Aはボーイング747-200型機をベースとしており、1991年に引き渡された機体です。

VC-25Bプログラムの下で、2機の機体は今後30年間の使用に向けて設計、修正、テスト、そして引渡しとなります。ベースとなる機体はボーイング747-8型機で、元々ロシアのTranaero社向けに製造されましたが、2015年に機体引き渡し前に同社が破綻したことで行き場を失っていた機体です。そんな機体が米国の大統領専用機というアメリカを象徴する機体に選ばれ、アメリカンドリームを掴んだ機体です。

このプログラムは、米空軍Air Force Life Cycle Management CenterのPresidential and Executive Airlift Directorate局によって管理されています。

VC-25Bプログラムには、電力のアップグレード、ミッション通信システムおよび医療設備の設置、大統領専用機として内装もエグゼクティブインテリアが施され、通常1台搭載されたAPUも型式非公開の別の種類のAPU2台に取り替えられ、地上のGSE支援を必要としない自律地上運用機能も付与されます。フライトコントロールに軍用GPSを統合することや、敵味方識別装置等の設置も必要です。もちろん、それ以外に米国大統領が飛行中に米国政府機関や米軍をコントロールする為の最高機密の設備が搭載されていきます。運用開始は2024年の予定です。

プログラムの第1フェーズでは、機体の前方と後方の下部ローブのスキンとストラクチャを切り取り、新たに製造された構造を強化し、下面ローブ等のドア 取付けが備えられた新たな強化パネルに取り替えられます。 このフェーズには、エアステア(タラップ/格納階段)の取り付けも含まれます。
これらの作業を開始するにあたり、先ずは施設と航空機から異物破片(FOD)を除去することから始まりました。(←これは米空軍にとってボーイングの機体を受け入れ時にマストの作業になってるでしょうね。)また、元々取付けられていた内装、エンジン、APU装置、セカンダリーシステムが全て取り除かれ、機体は改修する為、ジャッキとジグに支えられた状態です。

ボーイングのウェブサイトには、同社関連のこれまでの大統領専用機の歴史が掲載されています。1943年にボーイング314クリッパーがフランクリン・D・ルーズベルト大統領に使用されたのが始まりのようです。(1933年にダグラス・エアクラフト社のダグラスドルフィンがアメリカ海軍に大統領搭乗ように引き渡されたようですが、大統領が使用することは無かった為。)
エアフォースワンとしての役割を果たす最初の機体は、ダグラス_DC-6(空軍向けのC-118 Liftmaster)を改造したVC-118 Independence(トルーマンの故郷の名前から)で、機首に白頭鷲が描かれていました。

参照リンク:
https://www.airforce-technology.com/news
http://www.boeing.com/defense/air-force-one/index.page