英国国防・安全保障促進機構(DASA)と国防省(MOD)は防空システムに対する風力発電所の影響を「軽減および除去」するために200万ポンドの公募を開始しました。洋上風力タービンが民間および軍用レーダーの両方に与える影響を軽減する革新的なソリューションと技術の進歩の提案を求めるものです。
この中で開発された新しい技術により、英国はグリーンエネルギーの成長を拡大すると同時に、将来の風力発電所が英国の防空レーダーシステムに影響を与えないようにすることを目指しています。
この公募は、DASA主導の下、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)、英国空軍(RAF)、防衛科学技術研究所(Dstl)の支援を受けたもので、2030年までに洋上風力から30GW(英国の電力需要の約30%)を生成するための広範な政府間推進プロジェクトの一環です。
風力発電設備は、支柱やモーター部を覆うシュラウドなどの静的コンポーネント、およびブレード部などの可動コンポーネントからの反射によってレーダーシステムに影響を与えます。フィルターをかけることにより、静的コンポーネントは除去できますが、回転するブレードはレーダーのドップラーシフトを引き起こし、反射を除去しにくくします。地上レーダーでのこのドップラーシフトは、高速で移動する低空飛行の脅威の信号を模倣する為、レーダー上で本当の脅威を識別しにくくします。
公募内容には4つの課題があり、1つはレーダーに代わるものを検討するもの、2つは風力タービン自体に適用できる技術、3つはレーダー自体に適用されるシステムです。 4番目の課題は、同じ目標を達成するが、上記の要件に適合しないシステムです。 公募結果と契約は2021年3月に予定されています。
英国での再生可能エネルギー発電量の増加は、洋上風力発電に支えられてきており、2018年には新規設備容量だけで2,100MW以上、2019年には世界最大の洋上風力発電となるHornsea Oneで1,200MW、Beatriceで588MWと設備容量を増強しました。また設備容量714MWのEast Anglia Oneも2020年に完成を予定しています。英国政府は、総計で洋上風力設備容量8,500MWの建設を許可しており、2020年代には20,000MWに到達する見込みで、2030年までに官民連携で30,000MWを目指しています。
参照リンク:
https://www.gov.uk/government/news/dasa-seeks-innovative-ideas-to-mitigate-radar-risk-of-windfarms
https://www.carbonbrief.org/analysis-uk-renewables-generate-more-electricity-than-fossil-fuels-for-first-time