787-8の今後 更なるコストダウンと設計変更

 ボーイング社はあまり販売に積極的でなかった787-8に関して設計変更とコストダウンを行い、COVID-19以後の小型の機体ニーズに対応できるように考えているというメモ。

これは世界の航空旅客が減少し、回復に4〜5年かかると見られることから、多くの航空会社が小型の機体を好むようになっているからです。

ボーイングはこれまで787シリーズの中で一番胴体の短い787-8に関しては積極的に販売を行ってきませんでした。何故ならば787-9、787-10と比べ利益率も(非常に!)低いからです。作ってもあまり意味がない機体でした。開発当初は同じ787とはいえ、-9-10が共通部品が95%あるのに対して、−8は30%だけでした。2018年に−8の尾部部分の設計変更が行われ、見た目は-9-10と同じように変更したのですが、それでも共通部品は約40%ほどでした。

今回の設計変更の狙いは、できる限り787−8の部品を-9-10のものと共通性を持たせることです。2019年、-9-10は122機引渡しされましたが、787-8は6機しか引渡しされませんでした。部品を年間6個作るのと122個作ることを考えれば、787−8が非常に低マージンな機体であることがわかります。

しかし、時代はゴッホンゴッホンと咳込みCOVID-19が広がる勢いで変わり、エアラインは旅客が戻った後の使用機体により機体規模の小さな機種を好んでいます。その為、ボーイング社は787-8の製造工程を変更し、極力−9−10と同じ部品が使えるように再検討を開始しているようです。

何故これまで行わなかったのか?と思いますが、昨年の例のように長年積極的に売り込みをかけなかった為、2月に1機しか作らない状況の中で、製造工程に関係する何千という書類の変更を行うことや製造工程の見直しを行うために投資することはなかなか行えなかったということでしょう。しかし、COVIDで全てが変わったということです。

NMA?
これはNMAの機体という意味でしょうか?そうでは無さそうです。
確かに、これまでも787-3という一番短胴モデルが検討され、ANAが発注しましたが、のちにボーイングが当初の設計程特注主翼の効率が良い機体ではないということでお蔵入りとなった機体がありました。NMAの話が出た際に、787-3の話も多少ネタになりましたが、NMAがターゲットとするマケットには787-3でも大きすぎることから、787-8を設計変更したとしてもNMAの求めるサイズには入りきれないでしょう。また、NMAの対抗機種であるエアバスA321XLRと比べても、787-8は燃費の目でも優位に立てない機体です。