Boeing社は23日、米ワシントン州Puget Sound地域の組立て工場の操業を2週間休止(25日から4月7日まで州内の工場の操業を休止)すると発表しました。同州で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態が宣言されたことを受け、工場を一時閉鎖して従業員の感染リスクを抑え、休止期間に生産設備の清掃と消毒を実施します。
中型機「787」を製造するサウスカロライナ州の組み立て工場は現時点で生産を続けています。しかし、この工場でも先日新型コロナウイルス陽性患者が出ており、患者と濃厚接触者に対しては自己隔離と症状の検査を求めています。
ボーイングは9日に777を製造する同州エバレット工場の従業員がコロナウイルスに感染したことを明らかにしており、施設の消毒や濃厚接触者の隔離を行い生産を続けていました。しかし、死者がでたことで今回の休止処置となりました。亡くなった方は787プログラムの機体最終検査を担当していた方だったようです。
20日のリリースでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営環境の悪化を踏まえ、最高経営責任者(CEO)への報酬の支払いを見送るとともに、配当も停止すると発表し、自社株買いの停止も延長すると発表しています。
737MAXの2度の墜落事故をきっかけに、すでに経営難に陥っていたボーイングは、新型コロナの影響で経営が悪化している国内の航空機製造業界向けに600億ドルの政府支援を要請していますが、これを支持できないとして前国連大使のヘイリー取締役が19日辞任するなど、公的支援には異論もあるようです。
現時点では休止は2週間ですが、今後長引くようであれば、787や777/777-9の機体部位を製造担当している日本の下請け企業にも影響が出る可能性があります。
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https://boeing.mediaroom.com