カテゴリー1の欠陥を現時点で3点抱えた状態のKC-46Aですが、そのうちの一つであるRVS – Remote Vision Systemに関して、再設計を行うこととなったようです。期間は3年半を見ています。
<4月30日2020年 更新>
ブームカメラを再設計するには、ボーイングに5億5100万ドルの費用がかかります。
2020年の第1四半期にKC-46Aタンカーに対して合計8億2,700万ドルの税引前費用を計上しました。ブームカメラの再設計に加えて、KC-46Aが製造されているボーイングのピュージェットサウンド工場のFOD発生など「生産性の非効率性」とコロナウイルスが原因のシャットダウンにより、プログラムは損失を出したと同社は述べています。 KC-46Aプログラムの損失総額は現在約46億ドルに達しています。
<更新終わり>
この欠陥は、機内から給油用ブームを操作する際に、ブームオペレーターが給油ブームを操作する際に必要とする遠隔画像システム(Remote Vision System)に関するもので、これまでにわかっていたのは、(1)一定の角度において太陽光などにより画像がブラックアウト(その逆も)等の不具合を起こすこと、(2)画像取得する3つのカメラの内、外側についているカメラ2台と中央のカメラとの取り付け角度の違いから、3つの合成パノラマ映像に歪みが発生するという欠陥に関しての2つがありました。
(1)に関しては、外部の光量に合わせて、コントラストと解像度を自動調整する機能向上を計画している。(2)に関しては、カメラレンズの改良、コンピューターに新たなアルゴリズムを組み画像処理能力の向上を計画している…ことや、ブームオペレーターがブームと受油機との実際の距離の感覚がつかみにくいことから、ボーイングは解決策の1つとしてレーザー測距計を取り付けることを検討しており、レーザー機器をどこにどの様に取り付けるか、配線に関しての取り回し等を検討しています。。。と言うのが2019年12月のアップデートでした。
これら調査の結果(?なのかな?)全てボーイング社が費用を出し再設計する方向で、完成は3年半後となるそうです。
ボーイングは、システムを4Kの高画質カメラ、光ファイバーケーブル、モノクロから4Kフルカラーディスプレイに変換し、ブームの先端から給油される機体までの距離を測定する自動運転車の衝突回避に使用されるセンサーと同様の新しいLIDAR(光検出および測距)センサーを追加します。
この新しいシステムの飛行試験は2022年から始まり、試験と認可作業が終わり次第、2023年下半期中に空軍の機体へ搭載されていく予定です。
良いニュースは、米空軍はボーイング社に対して8億8,200万ドルの資金を提供することになっています。これは再設計の為では無く、現在コロナウイルス危機で資金がショートしているボーイングの流動性を提供する為とのことです。
この新しいブームカメラは「RVS 2.0」と呼ばれ、ブームオペレーターへの画像の歪みを修正するだけでなく、将来的にKC-46A空中給油機が自動で燃料を補給することを可能にするシステムとなるようです。