ジャンボ機(5) ジャンボ機といえば

747-8の開発再開の理由というところからでしたね。エアバスのA380という最新の機体が現れても、50年以上も愛され続け、今回のA380の生産中止のニュースがあった2019年2月現在でもまだ作り続けられている理由、それは747がそもそも軍用貨物機として開発されたこと。DNAは貨物機であることだと思います。

エンジン4発のジェット旅客機で大量輸送という観点だけで見ると、A380と同様に生産中止となっていたはずです。しかし、A380には無いスタイルが747にはあり、それが現在でも747の最新シリーズの「-8」が生産されている理由だと思います。

ボーイング747の原型は、現在でも米空軍で使用されているロッキードC-5Aギャラクシーと採用を競った軍用輸送機です。当時米軍はCX-HLS(Cargo Experimental, Heavy Logistic Support)という名称で航空機各メーカーに軍用貨物機の提案を求めました。当時の各メーカー提案資料を見ると、どの提案も基本的な設計は非常に似通っていたようです。

結局、最終的に採用されたのはロッキードですが、航空会社のパンアメリカン航空が大量の旅客輸送能力に魅力を感じたようです。ボーイングは開発スタッフを転用し、旅客機として747を再設計しました。

Lockheed(現Lockheed Martin)C-5 Galaxy (写真: Pixabay)

このときに既に軍用貨物機として設計されたということと、将来的に旅客以外に貨物機としても使用されることを見込んで、コンテナを2列に積めるようなワイドボディ設計をキープしました。その為、操縦席も旅客席の上の二階部分にあります。←ここがキモですね。

B747貨物機内部 奥左にコンテナが見える。(写真: Pixabay)

実は、この二階部分に操縦席を置いたことで、のちに貨物機タイプを開発した際に、機首部分に上方にグワッと開くノーズドアを設置できました。このドアにより、コンテナを機首方向からも積み込むことができます。

この上方に開く(フリップアップする?)ノーズドアを持っているタイプの貨物機は、ロシアのアントノフ(An-124、225など)以外にありません。

そして、その大きなノーズドアから積み込める貨物の積載量は130トン以上です。

これらの貨物機としての能力が認められ、-8シリーズの貨物機型は80機以上の受注をしました。

このように、時代の流れとしては4発の旅客機の需要が減っていく中で、その貨物機として開発されたDNAのお陰で、現在でも製造が続けられ、50年という長い間「ジャンボ機」として人々に愛され続けてきました。

孔子の論語の名言で、

「子曰、吾 十有五而学志于學。三十而立。四十而惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而從心所欲不踰矩」

は有名ですね。

「五十而知天命」は50才を迎えて、天が私に与えた使命を自覚したという意味です。

747も50歳。世界の747がそんな気持ちで今日も飛び回っているのかな?