ボーイング社から米陸軍の将来型攻撃偵察機(FARA:Future Attack Reconnaissance Aircraft)プログラム向けのコンセプト機体の新しいティーザー動画が公開されました。先週?あたりの動画よりも詳しく見ることができます。
機体の名称は以前「Boeing FARA」と呼ばれています。この動画からボーイング社案は、シングル・メイン・ローター(6枚)と通常のテール・ローターにさらに後部にプッシャープロップを採用することで高速飛行を実現させる案となっています。
動画の真ん中ちょい前くらいで、ビューアーから飛んで消えていくシーンで見ることができます。4枚のプッシャープロップが、通常のテール・ローターの後ろに取付けられています。テール・ローターはパイロンに取り付けられており、テール・ブームから左斜めに取り付けられています。
From its inception, we designed #BoeingFARA with sustainability and the future fight in mind. It will be ready as @USArmy missions evolve. pic.twitter.com/eYPBbJ5C4i
— Boeing Defense (@BoeingDefense) February 25, 2020
これ以外に動画では、最初に機種にボール・センサーが取り付けられ、その下面に機関砲(3砲身)が見えます。コックピットは前後に乗り込むタンデム式で、武装が搭載されたスタブウィングが見えます。陸軍の要求では兵装を格納できるように要求しているはずですので、それに対応するようにスタブウィングは胴体下面形状にあった形状に見えます。
Phantom Worksによって開発された今機体は、陸軍FARA向けにコンセプトを公開した5社の中で一番最後の機体となります。この機体が採用した3セットのローターシステム(メイン、テール、プッシャープロップの組合せ)は他の4社との大きな違いとなります。
Bell社案の360 Invictusはタンデム・コックピット 、シングル・メイン・ローターまでは共通ですが、後部はダクテット方式のテール・ローターを採用し高速飛行時の浮力を獲得しようというデザインです。
シコルスキー社のRaider Xコンパウンドヘリコプターは並列コックピットで、メインローターはそれぞれが逆に回転する二重反転(コアキシャル)方式を採用し、後部はプッシャープロップのみを採用しています。
AVX Aircraft社は、並列コックピット で、二重反転ローターと機体後部左右に取付けられた2基のダクテッドファンを組合わせたコンパウンドヘリコプターです。
Karem Aircraft社は「AR40」という機体で、メインローターが3枚のアクティブローターで構成されており、胴体左右にFARAプログラムコンセプト機では最大と思われる翼、スイベル式のテールローターを採用したコンパウンドヘリコプターです。このテールローターは通常のヘリコプターのテール・ローター位置と高速飛行時にはプッシャープロップ位置とに切り替える方式です。
上記のスタイルで各メーカーは全て陸軍の要求している速度180ktを達成できるとしています。
FARAプログラムに関しては、2019年4月に最終提案要請が出され、2020年3月に競合2社が選出され試作機の製造、最終選定された1社が生産開始を2024年に行い、2028年までに部隊へ引渡しすることが計画されています。これは既に退役したBell OH-58D Kiowa Warriorsの後継機種となります。