ロシア 極超音速ミサイルの実戦配備を発表

 ロシア国防省は27日、最新鋭の極超音速ミサイル「アバンガルド」を初めて実戦配備したと発表しました。アバンガルドは核搭載可能なグライダー型のミサイル兵器で“highly maneuverable”とあり非常に機動性があり、米国を含むあらゆるミサイル防衛(MD)システムの突破が可能とのこと。

国防省は声明で、ショイグ国防相がアバンガルドの実戦配備をプーチン大統領に報告したと明らかにしました。配備先は不明です。

同大統領は、この機動性を活かしアバンガルドが既存もしくは将来のあらゆるミサイル防衛システムを突破し得るとした上で「世界の国々がロシアに追従しようと必死だ。どの国も極超音速兵器を保有していないし、ましてや極超音速の大陸間弾道ミサイル(ICBM)兵器などロシアにしかない」と述べています。

アバンガルドはICBM等を使用しブースト飛行します。ICBMとしてはロシアのSS-19 Stiletto(UR-100UTTkh)などが使用される可能性があります。このICBMにて最高点(Apogee)もしくは高度約100kmほどに達すると、切り離されます。その後、無動力状態となったアバンガルドは極超音速で大気圏へ再突入します。この時、速度はマッハ27の極超音速で飛行します。
この運用方法は米国やその他の国々で研究されているICBMをブースト機材とした運用方法と違いはありません。
今回ニュースとなった大きな違いは、この再突入体であるアバンガルドの高い機動性で、ロシアはこのアバンガルドが、通常ICBMに搭載される弾頭と変わらない速さであるにも関わらず、低速度の巡航ミサイル並みの機動性を持っているという点です。この特性により、アバンガルドが既存の防空ミサイルシステムでは迎撃不可能だということです。

もし、この高機動性が本当であれば、米国が保有するTerminal High Altitude Area Defense (THAAD) システムなどの防空システムの、向かってくる弾道ミサイルの一定の弾道を予測した迎撃システムでは、この高機動再突入体であるアバンガルドを迎撃する事は難しくなるでしょう。

アバンガルドに関しては、どの様に再突入で高機動を達成するのか、最終ターミナル・フェーズで大気圏へ突入するのか等の情報は明らかにされていません。これらの段階がほとんどの防空ミサイルが突入してくるミサイルへ対応するフェーズである為です。

アバンガルドは今回の実戦配備にあたり、数年間の開発が行われてきました。2018年12月26日にはUR-100UTTkh ICBMミサイルを使用しテストが行われました。その際は、ウラル山脈にあるDombarovskyミサイル基地から発射され、3,700マイル(5,950km)離れたカムチャッカ半島のクラ・ミサイル試験場のターゲットに命中し、試験は成功したとされています。

今回の実戦配備ですが、SS-19 Stiletto(UR-100UTTkh)ミサイルと共に2基が配備され、2027年までに6基ほどが配備される計画です。

以下の動画は2018年に公開された物です: