ボーイング新中型機(NMA)の状況 (3)

このNMAの日本の航空機産業への影響はどうでしょうか?

日本は767からボーイングのメジャーなプログラムに参加し始めてきました。その後、777では飛行機の21%を製造し、787においては35%、777Xでも21%のワークシェアがあります。777は777Xに置き換わるため次第になくなるプログラムです。今後残るプログラムは767(殆どが米空軍の給油機向け)と787、777Xとなります。

思う部分はコンスタントに製造を続けていく事が重要ですから、次の飛行機NMAも是非絡みたいというところでしょう。しかし、NMAの機体規模的に日本が導入する可能性は低く、あったとしてもボーイングにインパクトをあたえる機数を揃えることは無いと予想されます。

また、トランプ大統領の「Made in U.S.A.」の動きも、アメリカ国内で製造する部位が増える方向にシフトさせるかもしれません。

そうなると、NMAで製造にあまり加担できないと、その次のプログラムが出てくるまでは、シンプルに仕事が減るでしょう。かなり長い間。。。

777の製造に参画できたのは、当時はパートナーとして日本のエアラインも製造メーカーも一丸となれる環境にあったからです。777はUnited航空がローンチカスタマーですが、ANAも後から加わり一緒にローンチカスタマーになりました。また、ボーイングも一社で開発するというリスクを嫌い、リスクシェアしてくれるメーカーをさがしたというそのような環境がありました。

787の時もそうです。コンポジットの技術が欲しかったからとか色々ありますが、ANAがローンチカスタマーとなり、ボーイングもリスクを分けたかったからです。

737やNMAのような低価格の機体で、日本がローンチカスタマーになる可能性のひくい機種だと本当に参画できる可能性は低いでしょう。

仮にNMAが開発決定となったとしても、日本のメーカーは安く作れる国での生産や、アメリカの現地に工場を建ててという形で参画する可能性が高いと思います。そうなってくると、売上は上がっても、国内の雇用に貢献するわけでも無く、やる意味あるのかい?となりそうです。

ボーイングとの蜜月時代もそろそろ終わり、独り立ちorパートナーを変える時期にきているのかもしれません。エアバスは日本のコンポジットの技術に興味を持っていて日本にもエアバスの機体構造部位を製造できる可能性は十分あるというニュースもありました。

皆さんどう思われますか?

私が思うのは、NMAは日本にとってはあまり旨みのないプロジェクト Not Much Available となりそうってとこです。うまい!

ボーイング新中型機(NMA)の状況 (4)

(記事の情報参考は下記のリンク)

Flight International July 03 2018 「Delta details talks with Boeing on NMA」

Flight International Feb 05 2019「No NMA launch in 2019: Muilenburg」

https://www.bizjournals.com/seattle/news/2018/05/17/boeing-nma-797-program-managers-engineers-details.html
Composite fuselage still under consideration for Boeing's 797
Speculation over Boeing’s proposed New Mid-market Airplane (NMA) continues.
Available seat miles - Wikipedia
https://www.airbus.com/newsroom/press-releases/en/2017/03/airbus-welcomes-new-agreement-on-industrial-partnerships-with-japan.html