コネチカット州ストラットフォードにあるSikorsky Aircraft社は米国海兵隊向けにCH-53K King Stallion大型輸送ヘリコプターと統合アビオニクスシステムのLRIP(low-rate initial production)Lot 5で製造する7機に向けた部品の調達を開始しました。完了は2021年8月を予定しています。
先ずは、複雑な部品や製造時時間の掛かるリードタイムの長い部品の調達から開始する様です。
CH-53KはHLR(Heavy Lift Replacement)計画で、1981年からアメリカ海兵隊・アメリカ海軍で運用されてきたCH-53Eが老朽化のため2009年から順次退役しており、その後継として配備が開始されています。CH-53Eの大規模発展型として再設計された機体です。海上で運用でき長距離の飛行性能を備えた機体ですが、最大搭載可能重量も増加し18トン以上の吊り下げ能力を有し、海上の拠点から戦闘車両や装備、人員を内陸深くへ輸送する作戦などで使用されます。
CH-53Kには新しいエンジン(General Electric GE38-1B)が採用され、コックピットのアビオニクスも新たなレイアウトが採用されています。CH-53Eと比べ吊り下げ能力と作戦行動半径は2倍に増加しています。貨物室の内寸も幅広に改められ軽戦闘車両を内部に搭載可能です。また、ローターブレードはコンポジット製になっています。
高高度(海抜18,500ft)&高温、視界の悪い条件下でも運用することができます。スリングロードは36,000ポンド、最大速度200kt以上、60度バンク・ターン、12度のスロープ・ランディングとテイクオフが可能で、被弾した際は外兵装を自動投棄することもできます。
初飛行は2015年末で、2018年に海兵隊に引き渡されました。今後海兵隊では227機を導入予定です。
関連企業:
アイオワ州にあるCollins Aerospace社はCH-53Kのアビオニクス制御システム用に、同社のCommon Avionics Architecture System(CAAS)を提供しています。 CAASは、Flight2システムを介して、複数の通信、ナビゲーション、およびミッションサブシステムを統合します。商用標準に基づくオープンシステムアーキテクチャで、再利用可能な一般的な処理要素を使用します。これは元々特殊作戦用のMH-47やMH-60向けに開発されました。これらの機体以外にもCH-47F、MH-60T、MH-65E、VH-60Nなどでも採用されています。
カリフォルニア州サン・ノゼにあるSanmina-SCI社は相互通信システムを製造しています。CH-53K用のSanmina-SCI FireComm相互通信制御システムは、デジタル処理技術と制御を使用します。そのシステムアーキテクチャは、MIL-STD-1553アビオニクスデータバス、IEEE 1394bデータバス、10/100 Base-Tイーサネット、およびTIA / EIA-485インターフェイスポートを使用します。
カンザス州ウィチタのSpirit AeroSystems社はコックピットがある前胴と貨物室があるメインの胴体部分を製造しています。
それ以外にも、英国のGKN Aerospace社や、ワシントン州バンクーバーのOnboard Systems International社などが携わっています。
参照リンク:
https://www.lockheedmartin.com/en-us/capabilities/sikorsky.html
https://www.navair.navy.mil/