ボーイング777X 荷重試験延期 ドアが吹き飛ぶ

 ボーイング6日、航続距離が長い次期大型旅客機「777X」の試験の一つを中断したことを明らかにしました。(→11/28/2019最新情報へ移動)

 中止されたのは型式証明の取得手続きの一環として行われる「最終荷重試験」で、米連邦航空局(FAA)の検査官の立ち会いのもとで「通常運航時を大幅に上回る荷重とストレス」を機体にかける内容でした。この荷重試験は機体を800トンの治具に取り付けて行われますが、その試験中に機体の貨物ドアが吹き飛んだようです。
ボーイングのウェブサイトでは「depressurization of the aft fuselage」とされており、胴体後部において急激な減圧があったことがわかります。(下記にリンク)

複合材でできた787と違い、従来のアルミ材で作られた777Xの胴体ですが、従来の777と比べて、より高い内圧に耐えるよう設定されています。機内高度は787と同等の6,000ft(1800m)程(客室内圧力(キャビン・プレッシャー)は9〜9.4 psi)が可能となるよう設計されています。777Xは客室窓も従来の777のサイズから大きくされます。

「通常運航時を大幅に上回る荷重とストレス」は通常運行で予期される最大の数値の150%(787の際は、14.9psi)ほどの圧力をかけます。機体には正圧リリーフバルブが付いており、通常運行では787の場合は9.78〜10.23psi程で開くようになっていますが、試験の際は必要に応じて変更して行います。

ドアが吹き飛んだとのことですが、777-9は機体に客室ドア10箇所(内2箇所は非常用ドア)と機体右側についた3箇所の計13箇所ドアが取り付けられています。ただ外れただけでは無いので、かなりのダメージが周辺にあると思われます。部位交換修理するのか、別の胴体で試験を行うのか、どちらにしてもプロジェクトの延期は避けされないようです。

 777Xは初の飛行試験を今夏に行う予定でしたが、GE製のGE9Xエンジンに問題が発生したため、2020年初めに延期しています。

新たな情報が入り次第、アップデートしていきます。

航空自衛隊で運用中のC-2輸送機の後部貨物扉も同試験中に吹き飛んだことがありました。建屋が爆発したようだったと聞いたことがあります。あの時も、かなり納期遅れの原因となりました。計算値の入力ミスだったとか、デジタルデザインの時代、実際の機体を最後まで見ない人が設計しているとか、色々聞いたことがありますが、先ずは777Xが先代の777同様信頼性の高い機体となることを願います。(今の所、ヒューマンエラー、撃墜以外で墜落事故無しの機体です。)

終わり

参考記事:
https://boeing.mediaroom.com/news-releases-statements?item=130500
https://www.seattletimes.com/business/boeing-aerospace/door-blows-out-during-ground-test-on-boeing-777x-jet/