KAL-ASD(大韓航空航空宇宙部門)はMD500ヘリコプターをベースにした無人機型500MD(KUS-VH)を初飛行させました。これは既存有人機を無人機運用するプログラムの一環としてKAL-ASDが行なっているものです。
初飛行は韓国高興郡の韓国航空宇宙研究院(KARI-Korea Aerospace Research Institute)の航空センターにて行われ、初飛行は30分間。離陸と地上高10Mの高さでのホバリング等を行いました。この初飛行に先立って、地上での遠隔エンジン始動、遠隔操作でのホバリング(tethered hoverなので、有線での接続による試験的なホバリングと思います。)などを実施したようです。今回の初飛行を含めたベーシックな飛行試験の後、第二段階としてミッション・シミュレーションを行い、最終フェーズで兵装関連の搭載、発射試験を実施予定と思われます。
この無人ヘリコプターは有人飛行の際の使用する後部座席(もしくは貨物)スペースに予備タンクを装備し、ペイロードは440kgほどで、滞空時間は6時間と通常の約倍の滞空時間を可能としています。
2015年ソウルで行われた展示会にはモックアップに、Lockheed Martin AGM-114 Hellfire空対地ミサイルと2.75inロケット弾ポッドを搭載していました。
韓国政府は公式にはこのような無人機の要求を行なっていませんが、KALはこの技術によって余剰となった機体を有人では危険なミッションや、偵察活動に有効活用できるとしています。
この機種に限らず、韓国が保有するベルUH-1Hや、シコルスキーUH-60、ノースロップF-5戦闘機なども遠隔操作可能としています。
この500MD(KUS-VH)にはボーイングが韓国にてデモ飛行を行なったボーイング H-6U Little Bird無人ヘリコプタープログラムの技術使用されています。(2013年韓国陸軍によるボーイングAH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプター36機の購入条件の一部。)
下記リンクはボーイングULB – Unmanned Little Bird無人ヘリコプタープログラムについて紹介した動画です。韓国にどこまで技術情報を開示したかは不明ですが、目指すシステムを理解するのに十分な動画と思います。
先日の記事でも取り上げましたが、米軍でも余剰となったUH-1やUH-60の無人機活用の実証試験が行われています。パイロットを少しでも危険なミッションから守る方法として非常に重要な技術だと思いますし、逆に多くの事故がヒューマンエラーであることを考えると、有人無人のオプショナル化(OPV)は当たり前の時代になりそうですね。
参照リンク:
www.flightglobal.com 8月2日「Picture: KAL-ASD conducts first flight of unmanned MD500」や 過去関連記事等