米国連邦航空局(FAA)は「Information for Operator – 19009」(航空安全情報)を発行し、運用者に対して迎角(AOA)センサーが簡単に損傷する可能性があることを思い出させ、安全な飛行操作を確保するために、注意深く保守する必要があることを明記しています。
「大型輸送機や小型一般航空機を含む複数の外国および国内製航空機の継続的な耐空性維持のため、FAAはAOAセンサーの適切な運用とメンテナンスを行うことの重要性をオペレーターに助言する必要があると判断しました」
「すべての運用者がAOAセンサーの重要性と、通常の操作、メンテナンス時、整備時、およびAOAセンサーの損傷が発生する可能性のある航空機周辺のその他の活動中、いつでもセンサー損傷の可能性があることを認識することが不可欠です」と記載されており、 AOAの耐空性要件を忠実に遵守するよう、「航空会社、証明書所有者、メンテナンスプロバイダー、ランプサービスプロバイダー、その他のサービスプロバイダーなどの航空機の運用と保守に関わるすべての人」に注意を促すよう運用者に促しています。
このようなFAAの「Information for Operator」メッセージは、多くの場合、特定のインシデントな度があった場合に発行されます。しかし、それらが進行中の事故調査にリンクしている場合は明記されません。
AOAセンサーの故障は、世界中で飛行停止中のボーイング737 MAX事故の2つの調査の中心的アイテムです。しかし、2件のAOA不具合原因はそれぞれ違っています。
最初墜落したLion Airの場合、墜落したフライトの前のフライトの際に、不具合が発見され少なくとも一つのAOAセンサーは交換されていました。しかし、墜落したフライトでAOAセンサー情報は左右で20度以上の差がある以上な情報をMCASフィードしました。これは地上で離陸滑走中にもこの数値を示していたようです。墜落まで11分間この誤差の状態のままフライトしています。
2件目のエチオピア航空の場合は、離陸の間まではAOAの数値は正常なもので、離陸後突然75度ほど狂った数値を表示します。このことからAOAセンサーにバードストライク等の異物が衝突したと考えられています。
ボーイングは改修されたMCASソフトウェアをFAAに9月に審査の為に納めると見られています。改められたソフトウェアにより、これまで機体左右に付いているAOAセンサーどちらかからだけでしたが、両方からの入力を必要とする修正が加えられ、もし左右の入力値が5.5度以上の相違がある場合は、MCASが作動しないようになります。
これに加え、二つのAOAセンサーの数値が規定の範囲外となった場合に点灯する警告灯がMAXの操縦席に新たに取り付けられます。これはボーイングのソフトウェアのバグで2件の墜落した機体ではこのライトが作動していませんでした。また、エアラインはこれらのAOAデータをコックピットの操縦メイン画面に表示することができます。
またMCASに関しては、AOAセンサーとは別に、MCASが起動した場合、かなり強い力で機首下げの動作をMCASが行なっていましたが、これまでよりも緩やかに起動し、パイロットが操縦桿を引いた場合、パイロットが十分コントロールできる強さに調整されるようです。
このような対策が今回の事故で取られていますが、737Max等で採用されているAOAセンサーは所謂風見鶏のように動くVaneは、故障の原因となる要素が比較的多いシステム(?)である為、今回FAAが安全情報を出したようです。
AOAセンサーについても調べて、いずれ書きたいと思っています。
FAAのInFO情報リンク:
https://www.faa.gov/other_visit/aviation_industry/airline_operators/airline_safety/info/all_infos/media/2019/InFO19009.pdf
国土交通省の航空安全情報リンク:
https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000071.html