F-35関連 小ネタ(2020/3/5一部追加)

ネットで見かけたF-35関連小ネタのメモ:

  • 500機目のF-35引渡し
  • 機体ファスナーのコミングリング
  • 米空軍初の女性デモチームパイロット
  • 日本とイタリアのFACO施設シャットダウン

500機目のF-35引渡し
 Lockheed Martin社のニュースリリースによると、500機目のF-35となるF-35A型機をバーモント州空軍へ引渡したとのことです。また2月にF-35の飛行時間250,000時間を達成しました。

The 500th F-35 delivered by Lockheed Martin takes flight from the company’s Fort Worth, Texas, factory. The multi-role fighter will be delivered to the Air National Guard in Burlington, Vermont. Photo: Lockheed Martin Website

 500機の機体の内訳は、CTOLタイプのF-35A 354機、STOVLタイプのF-35B 108機、CVタイプのF-35C 38機となっています。2019年には134機が引き渡されました。

 250,000時間という飛行時間に関しては開発テスト機体、トレーニング、運用中、米国&国外カスタマーの機体総合計となります。F-35は世界中9カ国23の基地で運用されており、985名のパイロットと8,890名の整備士が運用トレーニングを受けました。4カ国が実戦運用しています。

機体ファスナーのコミングリング
AIR FORCE MAGAZINEによると生産されたF-35数百機について、機体の重要部分・クリティカルエリアで使用されるファスナーにコミングリング(混合)が発生していたことがわかっているようです。製造元のLockheed Martin社は問題に関して交換作業は必要ないと考えているようで、機体の運用への影響は出ていないようです。

問題が発覚するまで、設計ではインコネル製のファスナーが適用されるべき箇所にチタン製のファスナーが挿入されていたようです。

インコネルはニッケルとクロムの合金であり、より高い強度と耐腐食性が必要な場所で使用されることになっていますが、チタンボルトはその強度と軽さが軽量化に役立つ領域で使用されます。ただし、チタンのせん断強度はインコネルよりも低くなっています。

ファスナーは「Eddie bolt」と呼ばれる製品に類似しており、チタン製のファスナー単価は5ドル程ですが、インコネル製は単価20ドル程と価格差もあります。外見上は非常に似ており、混ざったり入れ替ったりすると判別が非常に難しい製品だそうです。

このような作業上のミスは初めてではなく、作業者が作業終了時に余ったファスナーを間違った箱に入れたこともあったようで、発覚するまで数ヶ月かかった。。。というようなことも過去に発生したようです。

DCMA(Defense Contract Management Agency)によると、F-35戦闘機の2機種では48,000以上のファスナーが使用されています。F-35Aでは48,919箇所のファスナー適用箇所の内848箇所(全体の1.7%)、F-35Bでは50,603箇所の内877箇所(全体の1.7%)がインコネル製を使用しています。F-35Cは着艦の衝撃に備える為、51,353箇所の内1,813箇所(3.5%)でインコネルが使用されています。

製造されたF-35の内、どのテール番号で今回の不具合が発生したかは明らかになっていませんが、テキサス州フォートワース工場、イタリアのFACO施設でコミングリングが見つかったようです。日本のFACOでは起きていないようです。(1〜4号機を除いた航空自衛隊で使用中の機体は日本国内組立)

国防省の関係者で機体構造に詳しい方の中には、チタンまたはインコネルのボルトが取り付けられている材料と適合しない可能性があり、修正せずに放置すると腐食の問題を引き起こす可能性があると懸念する意見もあるようです。

ファスナーに関して書いたので、昔読んだ記事の記憶では、F-35のファスナー箇所は前胴片側だけでも750箇所ほどあるそうです。その為、ドリルの刃物の種類も極力共通サイズを使用している様で、できる限り同じ穴径、ファスナーの本数削減、組立方法の共通化などが採用されコスト削減が図られています。その結果F-16では9,000程あったドリル図面も、F-35では50枚程しか無いそうです。(↑今は全く違うかもしれませんが、、、)

コスト削減で色々努力しているのでしょうけど、このようなミスで取替作業が発生するとファスナー取替だけではなく、ステルスコーティングやシールの交換等非常にコストがかかるのではないかと思います。

米空軍初の女性デモチームパイロット
米空軍はユタ州ヒル空軍基地の第388戦闘航空団のクリスティン・キャプテン「Beo」ウルフ大佐を2020年〜2021年シーズンの航空ショーデモチームの新しいチームコマンダーとして就任したと発表しました。彼女はチームを指揮した最初の女性で、アリゾナ州ルーク空軍基地のチームの最初のソロF-35パフォーマーであったアンドリュー「ドージョ」オルソン大佐に続きます。彼女は2017年にF-22から機種転換し、これまでに第五世代戦闘機で計800時間の飛行時間を経験しています。デモチームは今シーズン20回のパフォーマンスを予定しており、最初は3月13日にアリゾナ州ユマにて展示飛行が行われます。

日本とイタリアのFACO施設シャットダウン
LMTとMHIは名古屋にあるF-35のFACO(Final Assembly and Check-Out)施設を新型コロナウイルス感染への予防処置として3月9日から13日までシャットダウンするようです。(既にシャットダウンしているという報道もありますが、、)イタリアにもある施設に関しても同様の処置が取られます。LMTは今年140機を引渡し予定です。ウイルスvsステルス。

F-35関連小ネタでした。

https://news.lockheedmartin.com/2020-03-03-Lockheed-Martin-Delivers-500th-F-35-Aircraft-Surpasses-250-000-Flight-Hours
https://www.airforcemag.com/lockheed-potentially-mixed-up-structural-fasteners-in-most-f-35s/
https://www.amamcotool.com/media/docs/public/press_room_articles/custom_tools_f35_sme.pdf