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陸自次期戦闘ヘリコプターAH-X/NAHについて(4)

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これまで(1)〜(3)を通して、次期戦闘ヘリコプターは一般的な2人乗り専用の攻撃ヘリコプターに関して、攻撃ヘリとは?どの様なシナリオで使用できるのか?等を書いてきました。速度と武装のポイントから少し書いてみたいと思います。

戦闘ヘリの速度について
現在、陸上自衛隊の航空機としては、少数の固定翼機以外は全てヘリコプター(回転翼機)です。佐賀県に予定の基地整備の遅れから、MV-22オスプレイ(チルトローター機、垂直離着陸機)はまだ米国にある様で、日本で運用される様になるのはもう少し先になりそうです。それでも、数年後はチルトローターの機体とヘリコプターが混じり合った運用が始まります。

攻撃ヘリコプターは単体で作戦を行うことはありません。必ず、地上に部隊がいる場所へ支援に向かう、もしくは地上部隊を乗せた汎用ヘリコプター(以後 汎用ヘリ)もしくは輸送ヘリコプター(輸送ヘリ)と一緒に作戦を行うというケースになると思います。これらのヘリコプターは巡航速度が200〜250キロぐらいで飛ぶことができます。いや、ぐらいしか出せません。

これから自衛隊が導入しようとしているオスプレイはこの約二倍ほどの速度で飛行することができます。

MV-22

攻撃ヘリを伴って行う必要のある作戦の際に、攻撃ヘリと歩調を合わせることができる機体でしか意味がないとなると、輸送ヘリと攻撃ヘリのコンビとなります。

オスプレイで隊員を運ぶこともできますが、ヘリにあわせて遅く飛行するか、時間をずらして目的地まで飛行する、のような形になるのでしょうか?なんとなく、攻撃ヘリとオスプレイがうまく連携している姿が想像できないのは、私が運用のプロではないからで、そこはプロの方々であれば答えをお持ちなのだろうとはおもうのですが。

オスプレイは後続の部隊をヘリコプターの二倍の速度で送り届けることができるという点で有効なのでしょう。

もし、このままAH-XのヘリコプターにこれまでのAH-1コブラやAH-64アパッチのような従来のスタイルのヘリコプターを選定した場合は、自衛隊が有事の際に前進する速度は250前後の速度が限界となります。ヘリコプターのローターブレード+テイルローターという組み合わせでは、このあたりの速度から300km/hというのが限界だからです。この“戦力投射”の速度が、過去数十年、そして今後数十年変わらないというのはシンプルに大丈夫なのか?と思います。

戦闘ヘリの武装について
攻撃ヘリは強力な武装がその特徴であると、以前に書きましたが、そもそも、使用できる環境が、現在ではあまり強靭なターゲットでない場合(ゲリラ部隊など)に限られるとなってくると、対戦車ロケットやミサイルを多数搭載できることがメリットとなるシナリオは少なくなっていきます。確かに、敵が篭った建物をビルごと破壊するという場合はロケットやミサイルといった武器は便利な武器だと思いますが、ゲリラが建物にこもる場合は、人質など攻撃を躊躇わさせる要素を用いて“人の盾”を使用することは容易に想像できます。その場合、そのような強力な武器を使用することは恐らく最後の手段となるでしょう。もちろん使用しないで、武器をもっていることを示すだけで示威効果はあるとは思いますが。

対ゲリラ戦などの際にターゲットを絞り、コラテラルダメージを極力抑えることができる武器というのは、攻撃ヘリの機首についている機関砲となります。

(ちょっと無理やりな意見かもしれませんが、)戦闘ヘリを導入して機関砲のみの運用を考えた場合、戦闘ヘリを対人戦闘に導入するの?と。少しそれはお高い買い物ではないのでしょうか?という見方もできます。

そのような場合は、汎用ヘリに機関砲やミサイル、ロケットというものを搭載できるようにした「武装ヘリ」というものがあり、この種のヘリコプターであれば、攻撃ヘリと汎用ヘリのチームではなく、武装ヘリ単体で戦闘員の輸送と攻撃を行うことができます。代表的な機体としては、旧ソ連のミル設計局で開発されたMi-24(Natoコードネーム:ハインド)があります。

Mi-24 Hind Photo: Pixabay

現在、自衛隊には武装ヘリとして使用できる機体は持っていますが、そのような使用のために武装キットを装備してはいません。

この様に書き進めていくと、敵戦車などを迎え撃つことができる力があることを示すために、攻撃ヘリを保有することは抑止力になりますし、無いのは無いで筆者も根拠なしに不安です。

しかし、起こり得るシナリオが対ゲリラ的なものであれば、武装ヘリで十分となるのであれば、対戦車戦闘も可能である高価な戦闘ヘリと多用な任務に使用できる(戦闘ヘリと比べて)比較的安価な武装ヘリの組み合わせで導入を考えていくというのも、選択のオプションかなと思います。

Airbus’ H160M 1:1モックアップ @ Paris Air Show 2019 Photo: 筆者撮影

全5回 陸自次期戦闘ヘリコプターAH-X/NAHについて(5)に続く