米国務省は台湾に最新型のF-16V戦闘機66機、80億ドル(約8500億円)相当を売却する方針を固め、議会に通知して手続きを進めているニュースに関してメモ。
F-16「V」はF-16戦闘機シリーズの中で最新モデルです。(詳しくはWikipediaを。。。)
既に保有している144機のF-16と合わせ、将来的に210機を配備できることになります。この新しい66機のF-16Vは、現在、台湾空軍で使用中の老朽化したF-5E/FとRF-5E Tigerを更新するようで、現在保有している機体の「V」へのアップグレードが完了した後に、引渡しが開始されるようです。
8月20日付のFMSリスト一部:
- GE F110エンジン ー これまでF-16A/B/(改修)Vで使用してきたP&W F100から変更。
- AN/APG-83 Scalable Agile Beam AESA レーダー
- ALE-50 曳航型デコイ
- AN/ALQ-211 A(V)4 統合電子戦防御システム
- JHMCS II or Scorpion ヘルメット装着式統合目標指定システム(暗視装置付き)
- Ground Training Devices(フライト&メンテナンスシミュレーター等)
台湾が保有するF-16
台湾はF16の旧型機を144機保有しています。モデルはF-16A/Bブロック20というF-16C/Dに近いバージョンです。1997年から2001年にかけて納入された比較的新しい機体ですが、中国を刺激しない為に、F-16A/Bという初期型モデル名を授けられています。
台湾は2006年F-35の代わりにF-16C/D 66機の追加購入を発表したが、中国の反発を受けて当時のブッシュ政権で棚上げにされました。その後、2011年のオバマ政権でアップグレードが承認され、A/Bモデル全144機に新しいAESAレーダー(AN/APG-83)、新型ミッションコンピューター、電子戦管理システム、戦術データリンク端末、JHMCSヘルメットなどを換装する改修を施すことを決定しました。この改修で「V」スペック同等の機体となります。
2機がアメリカのロッキード・マーチンで改修され、2015年に初飛行しました。残り142機は台湾の漢翔航空工業にて改修キットを取付ける形で2023までかけて実施中です。当初の計画では、初年度に10機、2023年までに25-28機/年で計画していましたが、米国でのソフトウェア開発の遅れから、初年度は4-5機ほどだったようです。
2018年に台湾国内で改修された機体が引き渡され、2019年の中華民国軍による年次演習「漢光35号」において復帰した姿が報道されています。
現在、台湾空軍ではF-16 A/B/V 144機、F-CK-1 (經國號戰機) (IDF)125機、ダッソーMirage 2000-5 55機、F-5E/F/RF-5E Tiger 62機を保有しています。(←Webから情報)
参考資料:
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-16/u-s-backs-f-16-sale-to-taiwan-in-move-likely-to-anger-china
https://thediplomat.com/2018/10/taiwan-receives-first-upgraded-f-16-viper-fighter-jet/
FMS契約内容詳細リスト: https://dsca.mil/sites/default/files/mas/tecro_19-50.pdf
台湾空軍ウェブサイト資料:
https://air.mnd.gov.tw/TW/News/News_Detail.aspx?CID=48&ID=13276