Garmin G3000®システム ジェネアビ業界初自動着陸Autolandシステム

 自立飛行テクノロジーにより、パイロットが緊急事態で操縦不可能な事態に、着陸を自動で行うシステムに関してメモしたいと思います。

この装置はGarmin社のG3000 で、英語ではAutonomí™ Autonomous Flight Solutionsと紹介されているパッケージに含まれる機能の一部で、ジェネアビ向けで実用化世界初のEmergency Autoland system(緊急時自動着陸システム)です。

あくまで緊急時の利用です。このシステムを使うと色々と大騒ぎになる可能性があることも、この記事でお分かりになるかと思います。

このシステムは現時点で、シーラス・エアクラフト社Vision JetとPiper社M600の操縦システムで使用することができます。

緊急時にパイロット、もしくは乗客がコックピット内のガードされた赤いボタンを押すと、Autolandシステムが起動されます。起動されても、操縦桿の解除ボタンを押すことで一度起動したシステムを解除することができます。

このシステムはまさにバーチャル・コパイロットで、天候、燃料の残量、風向き情報等を考慮し、これらの情報から着陸に適した空港を自動で選定し、着陸する空港の最も適した滑走路へ着陸するよう機体の制御を行います。

その他の自動アクションとしては、トランスポンダーもFAAで自動着陸に定められたスクォーク・コードに切り替えられ、通信機の周波数も変更しATC(管制)へ状況を知らせます。コックピット・ディスプレイと機内インターコムには、現状を機内の乗客に知らせる文字情報と音声で、何処へ何時に着陸するかを知らせます。必要であれば、乗客がディスプレイの指示に沿ってATCと通信することもできます。

Autolandシステムは機体の3軸全てをコントロールでき、スロットルのコントロール、降着装置やフラップの上げ下げ、滑走路のタッチダウンゾーンへの誘導を行うことができます。横風にもクラブをとり、着陸時には滑走路中央ラインへ合わせ、着陸後はブレーキ・ディファレンシャルで滑走路中央にアラインするようにコントロールします。滑走路が滑りやすい状態でも対応できるよう、ブレーキを調整できるアンチ・スキッド機能もついています。停止後は、機外へ出た乗員乗客の安全を守る為、エンジンをシャットダウンさせ、プロペラ・ストライク等の事故を防ぐようになっています。

また極めて緊急な事態では自動起動することも可能です。例えば、緊急降下が行われた場合、パイロットに意識があるかを確認し、応答がない場合は自動起動するなどです。

このシステムの開発は2010年にローンチされ、2014年からセスナ社Corvalis400を使用して飛行テストが行われ、329回の着陸が行われ、その他の機体を使用して更に300回以上の着陸がテストされています。2018年初めにPiper社とGarmin社でM600単発ターボプロップ機を用い、FAA認証に向けた技術実証が行われ、これまで170回以上の着陸を行っています。

Piper社M600単発ターボプロップ機でのFAA認定は2019年末に取得できる見込みで、2020年以降のモデルには標準で搭載される機器となる予定です。シーラス・エアクラフト社も「Safe Return」という機能名で、このシステムを搭載したVision Jetを2020年から引き渡す予定です。ダエア・ソカタ社もTBM900に搭載する計画をしています。

参照リンク:
https://newsroom.garmin.com/press-release/garminr-revolutionizes-aviation-industry-first-autoland-system-general-aviation