ボーイングのサプライヤー2社が対等合併

<4月9日2020年 更新>
両社の対等合併に関しては、COVID-19の大流行による世界的な経済的影響の中、4月上旬に中止となりました。ニュースリリース によると両社の取締役会は合併契約を終了することに同意し、それぞれの事業に注力するとしています。
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 ボーイングのサプライヤーであるウッドワード社(Woodward Inc. (WWD))とヘクセル社(Hexcel Corp. (HXL))が対等合併を発表しました。すべて株式交換で実施され、ウッドワードの株主は新会社の55%、残りをヘクセルの株主が保有します。新会社の企業価値は64億ドルに及ぶと見られ、2019年度には約53億ドルの売上高と11億ドルのEBITDAが生み出されると予想されます。両社はボーイング737MAXの墜落事故で同型機の生産が中止されており、それをきっかけにという事、また、航空業界で温暖化対策、排出ガス等への環境問題へのプレッシャー等の影響を受け今回の合併に踏み切ったようです。

今回の合併でより多くの資金を研究開発に回す事ができ、高効率エンジンの開発や軽量化された航空機部品の開発に力を入れる事ができるとしています。

合併後の会社名はWoodward Hexcel社となり、航空業界のサプライヤーとしてトップ5(?)に入る会社となります。

今回の合併はボーイング社737MAX製造中止のニュース以降で、最初の大規模な業界の動きとなり、飛行再開の時期に関しても不透明で、737MAX自体の将来に関しても危ぶまれる中でのビッグニュースとなっています。
ボーイングは、ウッドワードでは最大顧客で売り上げの15%、ヘクセルにとっては2番目の顧客で年間売上げの25%を占めます。ウッドワードは737MAXの逆推力作動システムを含む部品を製造し、ヘクセルは機体およびエンジンで使用される複合材料を製造しています。

今のところ両社とも737MAX製造停止からの影響は限定的なもので、代わりにエアラインで頑張らないといけなくなったNGシリーズ用スペアパーツ等へのニーズが出てきており、現在はそちらにリソースを向ける事ができているようです。

Spirit AeroSystems社はMAX向けでの最大のサプライヤーですが、2,800名の胴体製造に携わったスタッフへのレイオフを検討しています。同社はボーイング737MAXにかなり偏っていた為、今回の合併会社とは違った影響を受けています。

Woodward社はバランス良く展開しており、民間機、軍用機向けに主翼フラップ用モーターやその他のアクチュエーター機器の製造、自動車関連、発電所関連の設備等、多岐にわたるビジネス展開をしています。

HEXCEL社はカーボンファイバー等、複合材料のスペシャリストの会社です。新しい航空機では多くの複合材料が使用されており、今後その仕様の幅は広がっていくでしょう。ボーイングやエアバスで検討されている次期旅客機も複合材料を多く使用したタイプの研究が行われています。

参照リンク:
https://www.woodward.com/home
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-01-13/boeing-suppliers-woodward-and-hexcel-are-smart-to-merge