米空軍は9月、今年から受領を開始したBoeing KC-46A 空中給油・輸送機(愛称はペガサス)に関して人員と貨物輸送を禁じる処置をとっていました。原因は運用テスト&評価フライト中に発見された、貨物室床の積荷固定用ロックが勝手に解除される不具合が見つかった為です。
詳しくは、飛行前にオペレーターがしっかりとロックし、固定されたことを確認下にも関わらず、試験飛行中に貨物のロックが解除される事象が何度も発生したようです。幸いにも、飛行中に貨物がスライドするなど動きがなかった為、機体やクルーが危険な状況には至らなかったようですが、安全に重大な危険を及ぼすことから「カテゴリー1」の欠陥を抱える機体とラベリングされていました。
[Category one deficiency – a problem “which may cause death or severe injury; may cause loss or major damage to a weapon system; critically restricts the combat readiness capabilities of the using organisation; or results in a production line stoppage,” ]
問題解決をうけて12月18日に、ロック機構に関する「カテゴリー1」は無くなり、人員と貨物の輸送を再開可能となっています。
このカーゴロックの改修には、メインのカーゴロック機構を、さらにロックさせるセカンダリー・ロックを取り付けられました。
空軍はこれまでに27機の機体を受領してきましたが、このロックのレトロフィットを全ての機体に実施し、完了するのは2020年3月頃までかかるようです。
KC-46Aには「カテゴリー1」欠陥が残り2つとなります。
1つは、ブームオペレータが給油ブームを操作する際に必要とする遠隔画像システム(Remote Vision System)に関して、(1)一定の角度において太陽光などにより画像がブラックアウト等の不具合を起こすこと、(2)画像取得する3つのカメラの内、外側についているカメラ2台と中央のカメラとの取り付け角度の違いから、3つの合成パノラマ映像に歪みが発生するという欠陥に関しての2つがあります。
(1)に関しては、外部の光量に合わせて、コントラストと解像度を自動調整する機能向上を計画している。(2)に関しては、カメラレンズの改良、コンピューターに新たなアルゴリズムを組み画像処理能力の向上を計画しているようです。
もう1つは、給油ブームの力が強すぎる為、比較的軽い機体が受油することが困難な場合があるという問題ですが、これは設計変更が開始されたという内容でした。この記事ではA-10攻撃機はエンジン出力が弱く、給油ブームへ自機を押し付ける力が弱い為、アクチュエーターを作動させることが困難のようです。
この(2)に関して、ブームオペレーターがブームと受油機との実際の距離の感覚がつかみにくいことから、ボーイングは解決策の1つとしてレーザー測距計を取り付けることを検討しているようです。これが上手くいけば、オペレーターにブームの先端の情報を更に与えることができるからです。現在、レーザー機器をどこにどの様に取り付けるか、配線に関しての取り回し等を検討しています。