F-35のフルミッション能力率は27%

4月末にアメリカ会計検査院(Government Accountability Office =GAO)の報告でこのような数字が出てきました。既にtwitter等で取り上げられていましたので、簡潔に。。

今回のGAOの報告書にあった数値は、27%と52%という数値がグラフに出ていましたが、米国防省が望んでいるF-35の能力への期待を大きく裏切る数字となっています。マティス前国防長官は戦闘機稼働率に関して、80%のミッション遂行能力を求めていました。のでどちらもこれを下回る数値です。

戦闘機の稼働率については二つあります。それは:

・Full Mission Capable

・Mission Capable

です。

上のFull Mission Capableが望ましい状態で、その機体が対応可能な対空攻撃、対地攻撃、偵察など、あらゆる作戦行動を行うことができる整備状態のことです。戦闘機の機体が五体満足の状態です。

下のMission Capableは、その機体で対応可能な任務のうち少なくとも一つは実行可能なものの、全ての作戦行動を行うことができない整備状態のことです。足は動くので、歩いて行ってターゲットを見てくることはできるけど、手が動かないので、そのターゲットに球を投げれない=偵察のみ、、、の状態です。

今回の報告書では、F-35(昨年の5月から11月までの期間のデータ)の稼働率について:

・Full Mission Capable 27%

・Mission Capable 52%

となっており、望まれる数値から大きく離れた結果となっていました。

その主な理由は、F-35のスペアパーツの不足、そして世界中のユーザーでそれを移動させる難しさが原因のようです。

● スペアパーツの不足と、限られた整備体制の能力

F-35は、スペアパーツの不足のため、2018年5月から11月の期間の30%近くを飛行できませんでした。また、国防総省(DOD)には、F-35部品約4,300 以上の修理残がありました。戦闘機の要求とF-35用のスペアパーツ製造メーカーの供給能力とにギャップがあるということも問題のようです。

● スペアパーツ部品の不一致

国防総省(DOD)は、F-35をサポートするために、何年も前にF-35部品の特定のセットを事前に購入してきました。しかし、F-35は時間の経過とともに改良されてきたため、パーツが機体と合わないという問題が出ています。たとえば、購入した部品の44%は、海兵隊が最近展開したF-35と互換性がありませんでした。展開のために一連のパーツを変更するプロセスがないと、DODは運用上のニーズを満たすことができない可能性があります。

● スペアパーツを管理するグローバルネットワークが未熟

世界中でF-35のスペアパーツ部品を動かすためのDODのネットワークは未熟であり、海外のF-35ユーザーは、機体の修理に必要な部品のため長期間待たされる結果となっています。

さらに悪いことに、DoDはF-35スペアパーツに数十億ドルを費やしましたが、購入したすべてのパーツがどこにあるか、またそのスペアパーツがいくらかかるかについての記録を持っていないという状態です。

GAOの報告書はかなり厳しくDODの現状を書いており、将来的な改善に関しても厳しいコメントが書かれています。

日本も今年初めての飛行隊が編成されました。今はまだ機体も新しく比較的稼働率が高いと思われますが(事故で飛行停止の状況でもある。)、しかし、今後この影響が出てくるものと思われます。DODのシステムが改善されるにのはかなりの時間を要すると思いますので、自衛隊のF-35が飛んでいるのをあまり見かけない、、なんて状態にならなければいいですが。

新しい飛行機には必ずある産みの苦しみ、F-35はまだ産まれたばかりで、周りもアタフタしているといったところでしょうか。最初はおデブでなんだかなーと思いましたが、パリのエアショーで爆音を聞いて以来、好きになりましたよ。最近、航空ショーで新しいでもメニューでテキパキ飛んでますしね。

おわり

参考資料リンク:https://www.gao.gov/products/GAO-19-321