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SpaceJet (MRJ) 関連 近況まとめ

MITAC M90 @ Paris Air Show 2019

三菱重工業が取り組んできた国産初のジェット旅客機MRJプロジェクトは、もともと開発費を国が一部補助し、愛知県を中心とする国内航空部品サプライヤーを使うなど“初の国産ジェット”を開発するという形でスタートしました。

現在、三菱重工はボンバルディアのCRJ事業を買収し、機体の設計製造を米国Triumph社と進めるなど、メインのマーケットであるアメリカへ拠点整備を進めています。
MRJの開発で国内下請け会社も設備投資を行なってきましたが、ハラハラするニュースなのでは無いでしょうか?

6月10日あたりの新聞に、三菱重工のCRJ買収交渉のニュースが流れたことを受けて、愛知県知事が三菱側から(MRJの県内での開発生産に)「量産体制に悪影響はない」と説明があったと明らかにしたニュースがありました。それに対して知事は「戦後初の国産旅客機への挑戦で夢のある仕事。地元として全面的に支援していきたい」と述べています。どれくらい現実的に日本に仕事が残るのでしょうか?「悪」影響はないレベルだそうですが。。。
最近のニュースなどをまとめてみました。

ーSpaceJetー
6月に改称しましたので、自分の為に整理します。。(というか改称する前詳しかったか?と言われるとそこまで知らなかった。。。)
「MRJ90」→「SpaceJet M90」
M90をベースに新設計する機体を
「SpaceJet M100」
10年以上前のカタログ持っていますが、それに載っていた「MRJ70」がこの「SpaceJet M100」に置き換えられたとなります。

「MRJ70」から「SpaceJet M100」への主な変更点:

  • 胴体を2ft(約60センチ)長く(1クラス最大92席を設定できるM90と比べて、M100は全長がやや短くなる。)
  • MRJ70から6席増やして76席とし、ファーストクラスとエコノミークラスの設置(エコノミークラスのみは88席が可能)
  • Safranが設計した新しいインテリアを採用。後部の貨物室を減らし、客席の下にある貨物室のスペースも減らし、キャビンの床を下げることで広い空間を確保(=SpaceJet)
  • ↑これら↑を重量を増加させないで行う
  • 翼も翼端のウィングチップ形状の変更 ー 全幅を4ft短くし、91ft(約27M)にする。これにより地方空港の99.5%に乗り入れ可能となる(Aspen-Pitkin County Airport)。また、翼のスティフナーを除けることで、翼荷重を減らすことができるというのが大きなポイントだそうです。(ここをTriumph社が担当している。)
  • もちろん”Scope Clause”適合
  • M100の市場投入は2023年を計画

が基本的なコンセプトです。

従来100席クラスの構想として「MRJ100X」と呼んでいたものは「SpaceJet M200」と名称変更し、設計も始まっているようです。これは100席サイズだそうです。100だけど200、、、脚の数か?往復で200人運べる?離陸距離?!⇦売れますよ! 
MRJ70、MRJ90、SpaceJet、M90、M100、M200。。。呼び方も、数が増えたり減ったり大変です。納期遅れの原因これだな。

ーCRJ買収 おさらいー
三菱重工に存在するのは、名古屋の製造工場と数機の試験飛行用の機体だけで、カスタマーサービスインフラはゼロだったわけで、MRJ/SpaceJetの為に喉から手が出るほど欲しかったからです。

ボンバルディア側に現金5億5000万米ドルと約2億米ドルの債務も引き受け、約7億5000万米ドル(約810億円)を投じることで、そのネットワークを契約上は手にしました。
一方のボンバルディアは開発費の増加などで旅客機部門は18年12月期で4期連続の赤字。最後に残ったCRJ事業を今回手放し、鉄道事業などに経営資源を集中させることができます。(三菱はCRJの事業は欲しくなかった(知りませんが、ニュース等ではそう書かれています。)のですが、ボンバルディアは丸ごと買うことが条件だった。)

このCRJ事業の買収はボーイングと三菱重工との関係をぎくしゃくさせる可能性があります。当初、MRJは保守サービスに関してボーイングと協力関係を結んでいました(現在も)。しかし、CRJ買収を通じて三菱側が「自立」する場合、ボーイングも2019年末にエンブラエルの小型機部門を買収する計画がある為、恐らくボーイングと一騎打ちとなるでしょう。

現在、世界で運航されるRegional Jet機(60~99席の地方路線用小型機)は約3600機。ブラジルのエンブラエルの「Eシリーズ」が5割強(約1900機)、カナダのボンバルディアの「CRJ」が4割弱(約1300機)を占める2強体制です。ここが三菱重工(CRJ) 対 ボーイング・エンブラエル連合となるわけです。

ー受注数ー
現時点で、MRJ90の受注数はオプション発注分を含めても400機程度です。 
エンブラエル、ボーイング、エアバスの民間航空機事業の平均営業利益率は7〜8%で、航空機1機あたり利益は約370万ドル。三菱が開発費を回収するには1600機以上は売る必要があるとの計算になります。(違う?間違ってたらごめんなさい。)月産10機程作れたとして、10年以上かかります。
MRJ90は米国のマーケットにあっていないため、恐らくこれ以上の大きな受注は見込めないでしょう。三菱重工も過去数年新規受注していません。ですから、今回の70席タイプのSpaceJet M100に乗り換えたわけですが、これも軽自動車のような物で、数が出ないと儲かりません。経験のあるボンバルディアですらCRJで赤字でした。

筆者は、特にこの「MRJプログラム」や「国産ジェット旅客機」というネタにプロでもコンでも無いのですが、「戦後初」「夢」などのワードで、今の時代戦いに挑むネタはちょっと気になります。(遠い親戚の)子供元気かなー?くらいです。

MITAC M90 @ Paris Air Show 2019 Photo: 筆者撮影

参照記事:
https://aviationweek.com