ATAC社 Mirage F1が初フライト

2019年8月22日、Airborne Tactical Advantage Company (ATAC own by Textron)が保有機材のラインナップに加えるためフランスから購入したMirage F-1戦闘機のうち整備が終了した最初の機体が、引渡し後、初のフライトをテキサス州フォートアライアンス空港にて実施しました。アメリカ国内で民間企業が保有する同型機としては世界初となります。飛行した機体は複座型Mirage F1B(N601AX/フランス空軍シリアル番号502)で、飛行時間は30分程のテストフライトでした。

ATAC社は、同型機を22機購入したDraken International社や、F-5戦闘機を保有しているTactical Air Support社と同様の米軍への戦闘機による仮想敵業務を代行する民間軍事会社です。ATAC社は1994年設立で三社の中で一番古い会社です。

Mirage F-1戦闘機は初飛行が1966年と50年以上前の機体ですが、今回アメリカでATAC社が購入した機体は、フランク軍から2014年に退役した機体を購入したもので、製造日は1980年代に製造された比較的新しく、飛行時間も充分残っている機体です。

購入した機体は63機(整備機材とエンジン150機も)ですが、一部は部品取りの機体となり、運用する機体数は約40-50機となります。これらの機体には新しい電装品、レーダー、電子戦機器が搭載されていきます。

このような装備を必要とするのは、米空軍が部隊の訓練の為に民間軍事会社へ要求している仮想敵機(ADAIR)プログラムの要求からです。これには第三世代、第四世代の機体を使用し、速度はマッハ1.5、飛行高度50,000ft、空対空キャプティブ訓練弾と電子戦ポッドを運用、機体の半数が80nm(148km)の距離探知できるレーダーを搭載する、これらを可能とする機体が要求されています。

ATAC社は1994年から、Kfir(クフィル)戦闘機やHawker Hunter戦闘機を使用し、米海軍(海兵隊)、米空軍への対空訓練を請け負ってきました。日本へも同社の運用機体が訓練サポートで厚木飛行場へ何度か飛来しています。

操縦するパイロットは、米海軍、海兵隊、空軍出身のパイロットで、飛行経験豊かなトップガン、仮想敵部隊、米空軍兵器学校出身の教官が多いようです。

何故、第五世代戦闘機の時代に、第三第四世代戦闘機の戦闘訓練が必要なのかについては、以前の記事で取り上げています。

参考リンク:
https://www.defense.gov/Newsroom/Contracts/Contract/Article/1538123/
http://www.airforcemag.com/MagazineArchive/Pages/2019/January%202019/Red-Air-Rising.aspx 
https://combataircraft.keypublishing.com/2019/08/27/atac-flies-its-first-mirage-f1/ 
https://defence-blog.com/news/atac-takes-delivery-of-its-last-mirage-f1-aircraft-from-france.html