737MAX 再認証取得に向けて設計変更

By Steve Lynes from Sandshurst, United Kingdom – EGLF – Boeing 737 Max – N120IS, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=70921481

FAAによる再認証に向けて作業が進められている737MAXに関してアップデート。

 FAAは737MAXの再認証に向けたAD(耐空証明)の内容を発表しています。内容はMCASとAOAセンサーに関して主に4つの分野の設計変更を求めたものです。詳細は45日間のコメント受け入れの為に公開されているNPRM(The notice of proposed rulemaking)の資料と、FAAによる暫定レビューの資料で見ることができます。(このレビューの内容は暫定であり、作業が進められる中でアップデートが加えられる可能性もあります。)

NPRMのリリースに関しては737MAXの再認定に向けた重要なステップでありますが、再認可に向けてはまだ多くの作業が残っています。幾つもの運用とフライトトレーニングの手順書等のレビューなどです。加えて、ボーイングから提出される最終の設計変更書のレビューと認可も必要ですし、他国の航空局に対して提出する耐空証明書類も準備する必要があります。

4つの主な設計変更は、新たなフライトコントロールソフトウェアのインストール、既存のAFM(Airplane Flight Manual)に新たに加えられたり、更新されたフライトクループロシージャー(操作手順書)を含めること、新たなMaxディスプレイシステムソフトウェア(Max display system software)と水平安定板トリムワイヤー用の配線のインストール(horizontal stabilizer trim wire routing installations)となっています。

一つ目の新たなフライトコントロールソフトウェアのインストールは、2度の墜落事故の原因とされており、新たなソフトによりMCASが異常な制御を行うことがないようにされます。2つ目のAFMの改定によりAOAセンサーに不具合があった際に、パイロットが正しく対応できるようマニュアルの内容を改定するものとなります。
最後の、スタビライザー配線に関してはFAAの最新の配線の隔離に関する安全基準に基づいて再配線を実施させるものとなります。これは現在すでにオペレータに引き渡され運行していた機体への改修だけでなく、引渡しを待つ数百機の機体に関しても実施されていきます。

これらの4つの変更に加え、FAAが提案するADにはオペレーターがAOAシステムのテストを実施し、各機体が飛行再開する前に運用準備のためのフライトを行うことを求める内容が含められています。また、NPRMには特定の機器が稼働しない状態での運用に関して、より制限を加えたMELに関しても言及しています。

ボーイングはこれらの処置を施したのち、現在保管している450機以上の機体の殆どを1年以内に引き渡す考えでいます。

機体配線

参照リンク:
https://www.faa.gov/news/media/attachments/19_035n-R3-8-3-20.pdf
https://www.faa.gov/news/media/attachments/737-MAX-RTS-Preliminary-Summary-v-1.pdf