737Maxの無資格者による認証問題 に関して (2)

By Steve Lynes from Sandshurst, United Kingdom – EGLF – Boeing 737 Max – N120IS, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=70921481

(1回に続く)この記事では:

● さらにどんな問題に飛び火する可能性が?

この問題の他への影響は?737には日本企業は関わっていないので、ダメージは少なくても、それ以外の機体への影響と日本への影響は?に関して書きたいと思います。

概要:

● 737MAXの飛行停止処置(Grounding)の期間に影響

● 737MAX7と10の認証への影響

● 737MAX生産スケジュールへの影響は?

● ボーイング777Xの認証への影響は?

バックグラウンド: 737Maxの墜落事故をきっかけに明るみに出た、FAA航空機安全検査官検査員が無資格で認証を行った可能性が疑われています。また、そのスタッフは墜落事故を起こした737Max8を評価するほか、パイロットの型式限定要件、最低限のトレーニングに関する推奨事項を作成するなど、同型機の認証に重要な役割を果たしてきた組織にも関与しているという疑惑。

● 737MAXの飛行停止処置(Grounding)の期間に影響

ボーイングが発表したソフトウェアのアップデートの認証プロセスはこれからFAAによるレビュー待ちであり、これは737MAXの飛行停止処置(Grounding)の期間に影響する。

当初、ニュースではMAXは3月13日のFAAによる飛行停止処置から9〜10週間、6月頃までとの予想や、Southwest Airlinesは8月までの間フライトスケジュールからMAXを削除しました。エア・カナダは以前、6月までMAXを飛行スケジュールから外したと発表していました。

しかし、この記事を書いている4月18日(日本時間)時点で、アメリカンエアラインは737MAXのグラウンディングにより少なくとも8月19日まで、便のキャンセルを行うとニュースが出ています。

アメリカはFAAが飛行停止処置を取りやめれば、飛行再開されていくでしょうが

それ以外の国の機関、ヨーロッパや、中国などはFAAとは独自した評価する可能性もあり、飛行停止処置は世界的にはさらに長引く可能性もあります。ちなみに、中国はアメリカよりも先に同機の飛行停止処置を施行しました。

日本は、、、心配しないでいいでしょう。独自に判断はできません。FAAのいう通りに動くと思いますし、日本のエアラインは同機種を保有していないので、焦らずゆっくりFAAの後に従順に付いていくと思います。

● 737MAX7と10の認証への影響

737MAX -7/-8/-9/-10のうち、認証を受けて飛んでいたのは-8-9

米国運輸省の監察官、FAA、FBI、司法省、米国外の政府機関といったところから、MAXimum attention で疑われている状態ですが

ボーイングにはまだ737MAX -7-10というシリーズの機体の認証を計画しています。

当初の計画では-7シリーズは今年認証を受ける予定で、今年中にサウスウエスト航空に納入予定です。

-10シリーズに関しては、胴体部分がレントンに到着したばかりで、テストフライトに向けて組み立て予定です。

どの機体も、機体の長さが違うという部分以外は、「派生」型機ですから、問題も「派生」すると思います。(-10は主脚の機構に工夫がされてはいますが)

どちらの機体も、事故以前のようなスピードでは認証されないはずですから、納入を期待していたエアラインも、便の調整や代わりの機体探しの仕事が増えるでしょう。

● 737MAX生産スケジュールへの影響は?

既に月産52機から月産42機へと減産が発表されていますが、当初ボーイングが掲げていた月産57機への到達はしばらく先のことになりそうです。

CFMのエンジンの供給も納期遅れが発生していたという情報もあり、事故の影響が全ての原因では無いようです。エンジンがなければ、完成した飛行機を工場からおくりだせませんし、実際、ボーイングの工場では溢れた737MAXの写真がSNSで拡散しています。

● ボーイング777Xの認証への影響は?

最初の777Xは-9で、ボーイングはメディアと顧客へのロールアウトセレモニーイベントを行う予定でしたが、その3日前にエチオピア航空の機体が墜落し、もちろんイベントは中止になりました。

現在、このロールアウトした機体はボーイングのペインフィールド駐機場に置かれた状態です。初飛行の日程に関してはニュースは出てきていません。

当初の予定では

顧客への納入が2020年後半に予定されていましたが、認証プロセスで737MAXの影響を受けるはずです。

しかし、777-9も737MAXが開発されたのと類似しており、既存の認証規格に基づく777クラシックの派生機体です。

しかし、今回の疑惑が起きたことでFAAが777Xを派生物ではなく、真に新しい飛行機として認定することを望む可能性もあります。それとも派生の機体として、認証プロセスを行うものの、より長いプロセスに直面する可能性もあります。

どのみち、ある程度の「遅れ」が予想できます。

日本への影響としては:

現時点で、日本の下請けに生産スケジュール等の影響を与えるようなボーイングからの指示は無いようですが、増産の計画に関して先延ばしになる可能性はあります。それに付随する影響は出てくると思われます。現在、日本の航空機各メーカーにとっては777(X)と787は稼ぎ頭ですので、さあ、どうなるか?

まとめ

737Maxの墜落事故をきっかけに明るみに出た、FAA航空機安全検査官検査員が無資格で認証を行った可能性が疑われています。それに伴う影響について、737MAXと777X関連で書きました。少しでも参考になれば幸いです。

おわり

参考リンク:

レントンまで運ばれる737胴体が貨車に載せられたままの状態を伝えるツィート
レントン工場のアセンブリラインに並ぶ737MAX スペースも限界がある