米国の長距離打撃爆撃機計画の一環としてノースロップ・グラマン社が開発している長距離戦略爆撃機B-21 Raider(レイダー)のレンダリングが公開されました。
2020年1月31日にリリースされたアーティストレンダリングは、B-21が将来配備されるであろうテキサス州ダイス空軍基地(Dyes Air Force Base (AFB))やサウス・ダコタ州エルスワース空軍基地(Ellsworth AFB)、そしてミズーリ州ホワイトマン空軍基地(Whiteman AFB)などの格納庫に駐機している様子に加工されています。
B-21に関して米空軍が公開した画像は今回で2度目となります。
レンダリングは、ノースロップグラマンB-2Aに非常によく似た機体形状を示しています。どちらの機体も同体部や尾翼がなく、一枚の主翼で構成された全翼機で、垂直尾翼等レーダー波に反応し易い3D形状を無くした形状となっています。
もちろん1980年代に開発された40歳の先代ステルス爆撃機B-2Aと比べて、内部は全く違った新たな技術の塊でしょう。しかし外見に関しては非常に微妙な変化、どちらかというと先代のB-2が採用したかった機体後部形状になっています。
B-21はB-2Aと比較してみると、B-21の方が滑らかな胴体形状をしているように見えます。B-2Aではモコッと出ていたエンジンへのエアインレット(吸気口)がB-21では無くなっており、B-2Aよりもより機首へ前方へ配置されており、コックピット左右にエアスクープのように、上面から空気を吸い込むようなイメージの吸気口となっているのが分かります。これは、エンジンのファン・ブレードやエアインレットがレーダー上で非常に見える為、これらの露出を抑える事はB-21のレーダークロスセクション(RCS)を低くすることに貢献します。
また、コックピットの前のクチバシの形状がB-2Aと比較し、長くなっています。おそらく、これにより機首下面、コックピットのコブになる部分を隠しRCS低減に効果があるのではないでしょうか?
コックピットに関しては、フロントウィンドウの数がB-21では2枚となっています。(B-2Aでは4枚)
機体サイズに関しては、レンダリングの状態で背景が写真ですから、なんとも言えませんが小さく見えますね。小さければRCSも小さくなりますが。。アナリストの中には米空軍がB-2Aの機体サイズの2/3程の機体を要求しているとみる方もいるようです。主脚の数もB-2Aのダブルトラック(2列4輪)に対して、B-21のレンダリングではシングルトラック(1列2輪)となっており、機体重量がB-2Aと比べ軽い可能性があります。小さく軽いのでしょうか。
機体後部形状に関しては今回の画像からは分かりませんが、数年前にB-21のレンダリングが公開された時は、B-2Aと比べシンプルな後部形状となっています。B-2Aが主翼後端のエッジが10あるに対して、B-21は6となっています。これも少なければ少ないだけRCSを低減させます。
現在B-21はカリフォルニア州パームデールの米軍プラント42で製造中で(B-2Aは建屋401棟で組み立てられました。)、2022年12月にロールアウトし、その後、モハーヴェ砂漠にあるエドワード空軍基地に向けて飛行する予定です。
<2022年2月10日アップデート>
現在、6機目の機体の組み立てが始まっており、デジタル環境で機体燃料システムのソフトウェア設計も完了したようです。米空軍はこのプログラムのEMD(Engineering and Manufacturing Development)に最終的に何機の機体を製造するかは明らかにしていませんが、B-2を開発した際は、全部で6機の機体を製造しました。B-2は最終的に21機しか製造されなかったため、開発の6機はその後の運用部隊で重要な存在となりました。現在、米空軍はB-21を少なくとも145機保有する計画です。削減される可能性も十分あります。
<アップデート終わり>
その後、2025年までに運用に入る予定で既存のB-2とB-1を置き換え、 B-52を補完し、最終的に置き換える予定となっています。
これからデビューですから、機体形状はあくまで現時点のレンダリングで、変更される可能性もあります。
参照リンク:
https://www.northropgrumman.com/air/b-21-raider/