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BELL社 電動アンチトルクシステム 試験飛行

EDAT搭載試験機 Photo:Bell Helicopter (via Internet)

 Bell社は、カナダで新しい電動式テールローターシステムを備えた改造されたBELL429ヘリコプターを何ヶ月も飛行試験しています。

2020年2月20日にソーシャルメディアチャンネルにビデオが投稿され、EDAT – Electrically Distributed Anti-Torque(電気分散型アンチトルクシステム)の成果を公開しています。飛行試験はケベック州ミラベルのベルの施設で行われています。

Bell's Electrically Distributed Anti-Torque #EDAT

このEDATは、従来のテールローターと比較して、効率と信頼性が向上し、音響特性が低下し、メンテナンスコストが削減されます。

 ギアボックス、ドライブシャフト、テールローターハブとブレードである従来の機械式アンチトルクコンポーネントをすべて取り外し、4つの電動モーターと固定ピッチのファンに置き換えられており、実機でテストを行なっている世界初の例となります。

標準のベルモデル429には、4ブレードのテールローターが付いていますが、このような従来のメインローターを1つ備えた全てのヘリコプターは、メインローターが一方向に回転するトルクを打ち消す為に、ある種のテールローターまたは他のアンチトルクシステムを必要とします。EDAT搭載のヘリコプターは、これを4つの個別の4ブレード電動ファンに置き換えます。これらはすべて、Fenestronテールローターを備えたヘリコプターと同様に、エンペナージ部分に組み込まれた形になっていて、ダクテットファンとして機能します。(フランスのSafran社(SAF(EPA))によって製造されたシステムです。)

使用されるBELL 429ヘリコプターは双発ヘリで、通常は、エンジン(プラット&ホイットニーカナダPW207ターボシャフトエンジン)→テールブーム・ドライブシャフト→テールローターと機械的に接続されていますが、この試験機ではエンジンが発電機に接続されており、EDATシステムに必要な電力を供給します。機械的に接続が無い為、EDATはコンピューター化されたフライバイワイヤーシステムに完全に依存して、コックピットのコントロールをテールローターに接続します。これにより従来のテールローターを備えた他のヘリコプターよりも効率的であるようです。

従来のテールローターは、可変ピッチブレードを使用して、出力する力の量と流れる方向を交互に切り替えます。 EDATの4つのローターは固定ピッチのブレードで、前方または後方に回転できます。電動制御システムは、反トルク力の量をより正確かつ動的に変更できるようです。4つのローターが絶えず回転数を変化させることでにより、アンチトルクローターが1つ付いているものよりも細かく制御できるようです。1つの場合は、回転時の慣性の影響で応答性に劣る為です。

安全性向上:
4つのファンを使用することで、アンチトルクシステムの冗長性も得られ、ヘリコプターの飛行がより安全になります。4つの電動ファンのうち3つが故障しても、EDATシステムは十分な抗トルク力を出力できるとのことです。

メンテナンス:
従来の機械式のテールローターをなくすことは、ドライブシステムとテールローターギアボックスに関連する潜在的な故障の可能性を取り除くことにより、メンテナンスコストの削減にも役立ちます。これにより関連する部品・コンポーネントの定期的な検査や交換に時間を費やす必要が無くなり、ユーザーが保管するスペアパーツも減らすことが出来るかもしれません。

ノイズ対策:
ファンの可変速度と可能な限り低いRPMで動作する能力により、ヘリコプターの音響特性が低下することにも期待されています。これまでに収集したデータ
は、従来の429よりもはるかに静かであることAviation Weekに答えています。ヘリコプターの騒音は苦情をよく引き起こしますし、混用な技術は今後のエアモビリティーの機体を開発するにあたって重要な技術となります。軍事的にも騒音による機体の被発見率を低減させることにも貢献しますので、将来的なステルス対策を施したヘリコプターやUAVなどに貢献するかもしれません。

同社がこの特定のプロジェクトにどのくらい取り組んでいるのかは明確ではありませんが、2017年に少なくとも1件の関連技術に関する特許申請を提出しましたが、その承認はまだ保留中です。その中にはダクト付きファンや露出したローターを含むさまざまな概念的なマルチモーター構成を示す図が含まれています。

回転数の変換は固定のギアボックスを使用した従来のテールロータシステムよりも、設定変更も容易に出来るようですし、この技術開発は今後の電動化航空機開発において貴重なマイルストーンとなりそうです。

参照リンク:
Aviation Week