Boeing プログラム別アップデート 06252020

 NMAは事実上無くなり、COVIDが世界中の空の旅をフリーズさせ、新規機体への発注も聞かれなくなった今日この頃。ボーイング社のプログラム別アプデートを久しぶりにメモしておきます。

737MAX
2019年3月10日から13日の間に世界中で飛行停止処置が取られてから、来月(2020/7)で16ヶ月目となります。

飛行再開するために必要なFAAによる再認可に日程はオフィシャルになっていませんが、ボーイングは8月から9月頃には取得できると考えている様です。ボーイングはFAAにプレッシャーをかける形での日程公表を続けてきましたので、どうなるかわかりません。再認可で重要となる飛行試験が今月行われるという情報もあります。

ボーイング社は再認可に向けて、停止していた組み立てラインの3つのうちの1つを5月に再稼働しました。月産機数は1桁台と思われます。

ボーイング社には450機程の未引渡しの機体が保管されており、先日はSpirit AeroSystems社へ年産機数を72機へと減らすことが明らかになっています。これは今年既にSpirit社から出荷された35機を含んでいるため、残り37機となります。この数字にはSpirit社が出荷できずに保管している120機の胴体は含まれていません。

ボーイングの最優先事項は、再認可され次第保管されている機体から引き渡しを行うことです。いくつかの機体は発注キャンセルされたり、経営破綻してしまったエアライン向けの機体もあります。

747-8F
16機のバックログがあり、年に6機生産しています。現在、貨物機の需要はありますが747に関しては新たなオーダー等は発生していません。16機のうち13機は米国の貨物航空UPS向けの機体となっています。

767
767は月産3機で製造開始から40年を迎えて初めて生産レートのピークを経験しています。製造されている機体のシリーズは767-300ERFと767-200ERベース(300の主翼)のKC-46Aです。貨物航空会社のFedEx向けに45機、UPS向けに6機のバックログがあります。

777X
今年初飛行しましたが、1年遅れの開発プログラムとなっています。昨年は本ブログでも何度も取り上げましたが、エンジンに不具合が見つかるなど機体開発も遅れ、短胴シリーズの777X-8は開発が延期となっています。

発注をかけていたエアラインも発注キャンセルしたり、香港のCathay Pacific航空などは国内の政治情勢とCOVIDとダブルパンチからの旅客減少でキャンセルする可能性もあります。
ルフトハンザ航空は発注している機体の一部を既存の777Fに変更する可能性にも言及しています。それ以外でも大口の中東のエアラインが発注に関して大きく変更&キャンセルする可能性があることは以前の記事で書いたとおりで、COVIDもあってより確実性が高まっています。

787
787プログラムは昨年製造工程でのFOD問題以外は、スムーズにキャッシュを生み出している貴重なプログラムとなっています。COVIDが「明けた」タイミングで更なる受注が期待されるプログラムですが、問題はいつCOVIDが「明ける」かですね。

以上、簡単で特に目新しいネタもなかったかもしれませんが、メモまで。