737Max再認定へ 一歩前進 (内容追加)

2点アップデートのメモ:

  • MMEL
  • JOEB

MMEL
 FAAは現在飛行停止中の737MAX 8と9に関してのMMEL(Master Minimum Equipment List)をアップデート版のドラフトを発表しました。ウェブサイト上に掲載されており、30日間公開する事でコメント等を受け付けます。

これは737Max飛行再開への動きの第一歩となります。

MMEL(Master Minimum Equipment List) – 航空機における運用許容基準とは、航空機の運航に際して、必ず正常作動していなければならない最小限の装備品類および数量等が記載されたリストで、機体に常時搭載されています。

膨大な数の部品から構成される航空機は、信頼性確保のため多重の設計がなされており、運航条件によっては使用することが無い、もしくは作動しなくても差し支えない装備品も数多くあり、その構成要素すべてを完ぺきな状態(=型式証明取得時の仕様)に絶えず維持・整備することは容易ではありません。それぞれのアイテムごとの信頼性評価もなされているので、修理や整備を持ちこしても耐空性の低下が確率的に無視できる状況であれば運航を許容するように認められています。それが許されないと航空会社は故障に備えてその路線上の各空港及びダイバートする可能性のある空港まで全てに整備拠点(人員、工具、予備部品類および建屋等の付帯施設)を置かなければならなくなり、航空機を運用することが非常に困難になるからです。

今回の変更点の例として、例えば、これまでマニュアル・トリム・スイッチは、2つある操縦桿の一方で作動していれば、もう片方が故障した場合でも、次のセクターを飛行でき、次のセクターはスイッチの動く操縦桿を使用してフライトすることができました。MMELの中にはいつまれにこれを修理する必要があるかも記載されていました。

新しいリストでは、どちらのスイッチも作動している必要があり、マニュアル・トリム・スイッチに関して不具合に対する許容は無くなっており、この項目は削除されています。これ以外にも、警告灯やそれ以外の機能で、バックアップがある場合でもリストに含まれていない場合は全て飛行前に作動が確認される必要があります。

もちろんMCASも検索すればわかりますが、どこにも言葉が出てきませんので、MMELに含まれていないということは、MCASとそのセンサー機器はフライト中に異常があった場合、修理がなされない限りは次のフライトは行うことができません。

JOEB
12月2日から737Maxの飛行再開に向けて、14のエアラインから派遣されたパイロットが改定されたトレーニングマニュアルとチェックリストの確認作業を行っています。このテストは737Maxの6つあるチェックリストの変更点と非常時の対処(操縦)方法、MCAS(Maneuvering Characteristic Augmentation System)ソフトウェアが作動した場合の通常ではない事態での対処方法などを、ボーイングのシミュレーターを使用し確認作業を行うものです。

これが終了するとJOEB – Joint Operation Evaluation Boardによる作業が始まります。JOEBとはFAAと各国の航空局から派遣された航空機認証に向けたグループの事で、改定されたトレーニング内容と機体の操縦チェクリストの認定作業を行います。これが終わらない限りはFAAによるMCASソフトウェアのアップデートの認定のための試験飛行は開始されません。

エアラインチェック・MCASソフトウェア監査 → FAAによるMCASソフトウェアアップデート認定 → ADの発行というのが今後の大まかな流れとなります。

参照リンク:
https://www.faa.gov/aircraft/draft_docs/mmel/(←これは2020年1月4日までここに掲載されるはずです。)
https://www.faa.gov/aircraft/draft_docs/media/afx/B-737_MAX_Rev_2_Draft_Round-2.pdf