パリエアショー前のこの時期は色々ニュースが盛りだくさんですが、その中でも、昨日からニュース各紙で一斉に取り上げられたのが、三菱重工がカナダの航空機・鉄道車両大手ボンバルティアの小型ジェット旅客機「CRJ」事業の買収に向けて交渉を進めているというニュースです。
航空専門メディア「エア・カレント」が報じ、ボンバルディアは複数の相手と交渉をしているが、三菱重工との交渉は進んだ段階にあるとし、交渉がまとまった場合、早ければ6月17日から開催されるパリ・エアショーで発表される見通しという。
もし、これが実現した場合は、CRJ用にこれまで構築されてきたインフラ・サポート体制を使用できる可能性がありますので、これまで飛行機だけ作ってきましたが、サポート体制どうするんだろうと疑問だった部分を一気に解決できそうです。
CRJの機体を目的にこの購入の話が出てきているわけでは無いと思います。CRJは古い機体ですし、エアラインからの需要も減ってきています。(元々、ビジネスジェットとして使用する機体を無理やりリージョナル路線で使用するようになった。)
ボンバルディアの航空機部門は3つの部門にバラバラになっています。それぞれ、C-series はエアバスが買収、Q400の機体はバイキング社に買収、CRJが三菱となると、これまでのインフラを全てとまではいかないでしょうが、未経験の会社がこれから構築するサポート体制よりは安心体制になりそうですね。
MRJに関しては、5月末に客席数を70席ほどにした「Scope Clause」対応の機体を製造し、名前を「Spacejet」と変更するというニュースが出たばかりでした。
一方、CRJのプログラムは現在40機ほどの受注残がありますので、2020年ぐらいまでは生産がつずけられると思いますが、今後、ボンバルディア社(もしくは新しい会社)が、機体のアップグレードを行わない限りは生産が続く機体とはならないでしょう。CRJにGTFは載せれないと思いますし、もし三菱が購入するとなれば「Spacejet」と競合する機体を2機種販売するとは思えません。
MRJのプログラムは旧ボンバルディアの社員の方が引っ張っておられます。社員も3割ほどが外国人パワーともいわれています。国産?ジェットのこれからは、時々取り上げていこうかとは思います。
パリのエアショーの発表があるのか待ちましょう。
終わり
※ 「Scope Clause」(スコープ・クローズ)とは、リージョナル機の座席数や最大離陸重量を制限する労使協定のこと。スコープ・クローズは、リージョナル機最大の市場である米国で、大手航空会社のパイロットの雇用を守るため、航空会社とパイロット組合の間で結ばれている。リージョナル機は大手傘下の地域航空会社が運航するが、大手より賃金が安い地域航空会社へ路線移管が進むと、大手のパイロットは賃下げなどの問題に直面しかねないためスコープ・クローズが設けられた。現在は座席数76席以下、最大離陸重量8万6000ポンド(約39トン)という値が基準の一つになっている。