ボーイングと米海軍 “無人機” EA-18Gグラウラーの飛行実施

 ボーイングのウェブサイトによると、同社と米海軍は2機のボーイングEA-18Gグロウラーを自律無人航空機(UAV)として飛行させ、3機目のグラウラーをフライトコントローラーとして使用しました。

テストは2019年9月に開始され、計4回のテスト飛行がパタクセントリバー海軍航空基地で行われ、これらのテスト飛行で機体は21のミッションを実証しました。ミッションの種類は明らかにされていません。

これらのフライトは、EA-18Gをロイヤルウィングマン(Loyal Wingman)UAVのミッション制御プラットフォームとして使用することを評価するものです。無人機/有人機をチームとして運用する事は、空中戦における新しい米国国防総省のコンセプトであり、特に危険なミッションなど、一部の作業がUAVにオフロードされます。

EA-18Gは、レーダー誘導の地対空ミサイルなどの敵のセンサーや兵器システムを妨害するために使用される米海軍電子戦機です。 F/A-18Fスーパーホーネット戦闘機をベースにした2人乗りの機体です。

米海軍は160機のグラウラーを高度なコックピットシステム、CFT(コンフォーマル燃料タンク)、改良されたセンサー、アップグレードされた電子攻撃パッケージを含むブロックII構成にアップグレードすることを計画していました。またロイヤルウィングマン無人機を制御する機能も含まれていましたが、ブロックIIアップグレードパッケージにEA-18Gを自律的に飛行させる機能が含まれることは公表されていませんでした。

この技術により、海軍は有人航空機を危険から守りながら作戦範囲を広げることができ、パイロットを増やすことなく、1人のパイロットが複数の航空機を制御できるようにするフォースマルチプライヤーとなり、状況認識や生存率も向上させることが可能となります。

今回のテストで使用されたEA-18Gは2019年夏に、オープンアーキテクチャプロセッサと高度なネットワークをサポートする仕様へと改修され、そのうちの2機のグラウラーを無人航空システムの機体へと変換できるようになりました。これら2つの技術は、分散ターゲティングプロセッサネットワーク、およびロックウェルコリンズの戦術的ターゲティングネットワークテクノロジー無線技術用のプロトタイプでF/A-18E/FブロックIIIアップグレードの一部としても計画されています。

このグラウラーの無人機化は、ボーイングが以前開発したQF-16の技術も応用されていると思われます。QF-16は、退役したF-16ファイティングファルコンを使用した無人標的機です。最初のQF-16は2013年にボーイングによって飛行しました。

一部の防衛研究者は、米空軍を退役したF-16をUAV化した部隊を作り、限定的に使用する無人攻撃機の部隊を提案しています。

また、ボーイングはオーストラリア政府とのパートナーシップで、Airpower Teaming Systemと呼ばれるロイヤルウィングマンUAVプロジェクトにも取り組んでいます。これが発表された際に、EA-18Gと並んで飛行する無人航空機を描写したレンダリングが公開されていました。このプログラムで開発が進んでいるUAV機体は2020年に最初の飛行を目指しています。

今後も、ボーイング社ではF/A-18、EA-18G、および非公開のUAVの間で、追加の有人無人チームのデモを計画しているとようです。

参照リンク:
https://boeing.mediaroom.com/news-releases-statements?item=130615