オスプレイ用新ウェポンシステム – Defense Weapon System (DWS)

 米海兵隊がハワイ島オアフ沖でMV-22 オスプレイにDWS(Defense Weapon System)を搭載し射撃試験を行った様子をDefense-blogサイトにて動画を見ることができます。

DWSは、リモートで射撃コントロールするガナー・ステーションと、ターゲティング・センサー、GAU-17ミニガンで構成されたシステムです。

このシステムはオスプレイの後部貨物室床下の開口部に取り付けられたシステムで、機体内部の別途設置されたガナー・ステーションからビデオゲームによく似たインターフェースでリモートコントロールされ射撃を行うものです。フレアシステムとカメラシステムを採用しており、数百から数千ヤード離れたターゲットにもピンポイントでの射撃を行うことが可能となっています。

これまでオスプレイに搭載されていた武器は後部の貨物搭載用ランプを開けた状態で後方に向けてマシンガンだけで、ガナーの視野も狭く射撃角度も限られたものでした。しかし、このDWSの採用により機体下面の更に広いエリアを射撃可能となり防御力を向上させることができます。使用しない時は、開口部から機内に格納されます。

DWSシステムは、航空機の改造や貨物室エリアの使用スペースを最小限に抑えるように設計されたミッションキットです。キットは機体に恒久的に取り付けられるのではなく、使用していないときは取り外すことができます。 V-22が航空機モードとヘリコプターモードの両方で使用することが可能です。

DWSの主なサブシステムは:(BAE SYSTEMS社ウェブサイトより)
・ 武器制御コンピューター(WCC – Weapon Control Computer ):航空機のインターフェースを提供し、センサーの見通し線(LOS)と銃線制御用の慣性安定化信号を生成します。
・ モーターコントロールユニット(MCU – Motor Control Unit):タレット内の4つのモータードライブに電力を供給するために、1つのエンクロージャー内にモータードライブインバーターを備えています。
・ 配電ユニット(PDU – Power Distribution Unit):DWSサブシステムに電力を供給します。
・ 変圧器整流器ユニット(TRU- Transformer Rectifier Unit):115VAC 400Hzの航空機電力を整流します。
・ センサー:センサーは、最大6,500メートルのターゲット検出および認識のための電荷結合素子(CCD)および赤外線(IR)モードを備えた8インチのスタビライズド・タレットボールです。
・ センサー・デプロイ・モジュール(SDM – Sensor Deploy Module):前方貨物フック用開口部からのセンサーデータのデプロイ。
・ ガンナーコントロールステーション(ディスプレイおよびコントローラー):可視光とナイトビジョンデバイス(NVD)で読み取り可能で、システムを完全に制御および操作できます。シンプルで直感的なヒューマンマシンインターフェイスを提供します。
・ 武器タレット:後方貨物フック開口部に武器配備。360°の連続回転を提供し、武器の射程範囲を最大限に抑制します。
・ ビデオレコーダー(VR):小型、軽量、内蔵型のデジタルミッションデータレコーダー。シンプルなデジタルリムーバブルメモリモジュール(RMM)を利用して、3時間以上のデータ記録が可能です。

DWS MV-22 Osprey with closeup belly
Copyright © 2020 BAE Systems.

オスプレイはチルトローター機のため翼に武装を取り付けるのが非常に難しく、胴体の降着装置とローターからクリアな部分しか武器搭載できるエリアがありません。
過去には、オスプレイのコックピット左下にロケット弾を取り付け発射試験が行われました。

参照リンク:
https://www.baesystems.com/en-us/product/defense-weapon-system
https://defence-blog.com/news(ビデオリンク等)