何故、米軍は50年前のF-5戦闘機を買うの?(2)

世代の説明に一つ記事使っちゃいましたが、書きたかったのは、米軍が今でもF-5戦闘機を購入して訓練していることについてです。

F-5戦闘機は第三世代に属しますが、流石に今世の中で使用されている第三世代戦闘機は、ある程度アップグレードされていまして、第四世代に近い能力を持っている戦闘機もあります。

今回、米軍が中古で購入するF-5もそのまま使用するのではなく、通信機器やコンピューターなどをアップグレードし、プチ第四世代になるかと。

んじゃあ、第四世代を使えばいいじゃん、、、と思いますよね?砂漠にまだ使えそうなF-16が保管されているので、あるっちゃあるんです。ただ、使用できる第四世代でF-16などはコストが高く、訓練の予算も抑えるには、やっぱりF-5がいいんです。F-5がそもそもお金のない国のために安く、運用コスト抑えることができる非常にお利口な戦闘機なのです。

英語ですが、最後にリンクつけときますのでYoutubeでご覧ください。

このF-5ですが、正面からのレーダー反射面積が非常に小さいというところも、仮想敵として使用が好まれる理由の一つで、アメリカと敵対すると思われる国が今でも使用している戦闘機で、MiG-21などの戦闘機をシミュレートするのに適しているようです。

現代の戦いというのは、レーダーで先に見つけた方が「勝ち」で、相手を見ずに戦いが終わる、、、ような確かに昔と違うレベルの戦い方が想定されています。

しかし、大規模な国と国の戦争というよりも、先日のインドとパキスタンの戦闘のような、インドの第三世代(アップグレードされていて第四世代に近づけた)のMiG-21と、パキスタン空軍の第四世代のF-16との空中戦ように、小規模の衝突という事態の方がはるかに起こる確率が高いでしょう。

2004年のCope Indiaという米空軍とインド空軍との演習で、インド空軍が米空軍を模擬戦闘で90%の勝率で打ち負かした話は有名です。このような経験も、F-5戦闘機を今でも使用して戦闘訓練をする理由です。

日本は航空自衛隊でも空戦訓練はしていますが、アメリカのようなF-5戦闘機を使用したアグレッサー部隊は無く、自衛隊のアグレッサー部隊は、主力戦闘機のF-15を使用しています。

なので、保有している戦闘機同士での訓練しかできず、様々なことなる機体の敵をシミュレートした訓練(DACT訓練)ができません。F-15同士や、F-2同士、良くてもF-15vsF-2での戦闘訓練となりますので、まあ戦闘が起きないであろう平和な世界に向けていれば、問題ないのですが、有事の際はありえない組み合わせでの訓練しかできません。この辺りが、米軍が常にリアリスティックに備えているかをご理解いただけるところかと思います。このような意識が、アメリカでは民間のアグレッサー部隊で米軍相手に訓練を提供する企業も生まれる理由です。

「取り巻く環境の変化」に用意するというのは、高級な装備を買い揃えるだけでなく、使いこなせる環境を用意することが必要ですよね。米軍のF-5購入のニュースから思ったことを書いてみました。

おわり