安全に重大な危険を及ぼすと考えられる「カテゴリー1」の欠陥を抱えるKC-46Aですが、FlightGlobal誌で状況がアップデートされていました。
欠陥の1つである、ブームオペレータが給油ブームを操作する際に必要とする遠隔画像システム(Remote Vision System)に関して、(1)一定の角度において太陽光などにより画像がブラックアウト等の不具合を起こすこと、(2)画像取得する3つのカメラの内、外側についているカメラ2台と中央のカメラとの取り付け角度の違いから、3つの合成パノラマ映像に歪みが発生するという欠陥に関しての2つがあります。
(1)に関しては、外部の光量に合わせて、コントラストと解像度を自動調整する機能向上を計画している。(2)に関しては、カメラレンズの改良、コンピューターに新たなアルゴリズムを組み画像処理能力の向上を計画しているようです。
欠陥の2つ目である、貨物室床の積荷固定用ロックが勝手に解除される不具合に関しては、セカンダリーのロックによりこれまでのロックを更に固定する機構を設計し、試験されており最終的な解決に向かっているようです。
そして、最後の問題は、給油ブームの力が強すぎる為、比較的軽い機体が受油することが困難な場合があるという問題ですが、これは設計変更が開始されたという内容でした。この記事ではA-10攻撃機はエンジン出力が弱く、給油ブームへ自機を押し付ける力が弱い為、アクチュエーターを作動させることが困難のようです。
これ以外の問題としては、Cobham製の給油ポッド(主翼端に取付ける)に関してFAAの認証が遅れており、来年6月頃になるようです。
これらの問題はありますが、米空軍はIOT&E(運用テスト&評価フライト)を継続していくようです。
10月25日時点でボーイング社は米空軍に23機を引き渡し済みです。同社の今年の引渡し機数の目標は36機でしたが、今年はあと5機前後の引渡しで終わり、残りの機体の引渡しを来年にかけて行い、一旦引渡しレートを落として、不具合解決と運用テストに注力するとなっています。
参考記事:
https://www.flightglobal.com/news/articles/boeings-plan-to-get-the-kc-46a-tanker-back-on-sched-461841/