FAA(連邦航空局)はBoeing 737NGの機体にクラックが見つかったとして同型機を運用するエアラインに向けAirworthiness Directives (ADs、耐空性改善通報) を出しました。クラックが見つかった場所は「Pickle forks」と呼ばれる胴体と主翼接合部に使用されるジョイント部位で、飛行中に同部位を曲げようとするストレス、トルク、空力に耐えている部位となります。
このニュースに関してアップデートします。(初回の記事)
今回の不具合の見つかった機体のPickle forkですが、前回詳しく書きましたが、左右前後一箇所づつが中央翼と胴体を接合する部分で使用されており、クラックが見つかったのは、後部のどちらかから発見されているようです。
「Pickle fork」は前部と後部で同じような構造ですが、後部の「Pickle fork」下部には降着装置(主脚)があり、その格納の為に非常に複雑な構造をしています。その辺りが前部の「Pickle fork」と違った荷重の分散に置いて複雑になっているはずです。
また、このエリアは737「NG」で取付けられた主翼翼端の「ウィングレット」により当初デザインされた737とは違った荷重がかかっていると思われます。小さな翼が付いているように見えますが、「ウィングレット」は翼の荷重のかかるエリアをさらに翼端へ広げますので、主翼の付け根部分への曲げモーメントを増大させます。
上記は今回の件の原因という意味ではなく、非常に荷重のかかるエリアであるということはお分り頂けるかと思います。また、737クラシックから737NGへの変更が行われた部分に関して今後、737Maxであったような認証方法の問題が出てくる可能性もあります。
機体修理
FlightGlobalの記事では、サウスウエスト航空が保有する機体のチェックを行い、そのうちの2機をグラウンド(「飛行停止」処置で地上に留め置く)するとかかれてありました。
ボーイングでは最初に発見された機体の修理が既に始まっており、最初の機体の修理は3週間程かかる見通しです。
この問題が見つかって最初の1週間で、点検した機体500機程の5%からクラックが見つかっています。それらの機体の中で飛行回数は23,600回しかない機体から見つかっているものもあるようです。
ボーイングは機体修理に関して、カリフォルニア州ビクタービル(Victorville)でAOG(Aircraft On Ground)チームにより修理を行なっています。今後、対象とする機体を修理する為、ヨーロッパやアジア地区にもAOGステーションが設けられる予定です。
当初の機体をカバーできる「Pickle fork」のスペアパーツはあるようですが、足りない場合に備えて、テンポラリー(一時的)な修理方法により機体を運行可能な状態にすることが可能か、もしくは不具合のある「Pickle fork」を改修して補強し使用できる状態にすることが可能かも調査されるとの事です。
「ウィングレット」の取付けにより機体の従来部品の強度を急激に落とすという可能性があると、後付けで取付けられた「ウィングレット」使用する機体の主翼取付け部分の機体強度に関しても非常に気になりますね。
参考記事:
https://www.flightglobal.com/news/articles/southwest-grounds-two-737ngs-with-structural-cracks-461376/