ボーイング社FARA提案機体の詳細公開

Boeing FARA design Source: Boeing

シャイアン!と皆さん思いましたよね?

いやー、動画でチラチラ見えている時から気にはなっていましたが、なんとも言えないデザインですね。。。

ボーイングのホームページで詳細が公開された米陸軍FARA向けの機体に関してメモ。
5社の中で一番最後の正式公開となりました。

Boeing FARA design Source: Boeing

Boeing FARA design Source: Boeing

機体は通常のヘリコプターのお尻部分にプッシャープロップが取り付けられたコンパウンドヘリコプターです。中間ギアボックスの後ろにクラッチがありテールローターとプッシャープロップへの動力をコントロールします。

先日の記事でも書いた通り、メインローター6枚(ヒンジレス)、テールローター4枚、プッシャープロップ4枚というローターブレード構成です。エンジン吸気口が機体右側に取り付けられており、エンジンは単発、操縦システムはフライ・バイ・ワイヤで、陸軍要求の180kt(333km/h)を達成できるようです。

機体は綺麗な流線型で、2019年5月に流出したアパッチ にプッシャープロップのイメージとは違った外観となりました。アパッチ の左右のデコッと出た部分を削り取るとこんな感じでしょうか?コックピット の風防は非常に大きく似ていますね。いや、やっぱり飛行データ等は一部参考にしたAH-56 Cheyenneを今風にした感じですね。

AH-56A シャイアン   Image: Lockheed(thru wikipedia)

ローターの中心線からオフセットした位置にフラップヒンジがあることで、全関節型ローター方式よりも多くの制御モーメントを作り出し、ブレード面積も広く、6枚ブレードを採用することで機体のコントロール性に優れると見ています。

ヒンジレス・ローターに関しては、ボーイングは1970年代のUTTAS(汎用戦術輸送機システム)プログラム向けに使用したYUH-61での飛行データや、Boeing Vertol Model 222での研究データが活かされたようです。YUH-61はシコルスキーYUH-60Aに敗れました。222もプロトタイプ製造の契約に敗れ、設計図から飛び立つことはありませんでしたが、その後のBELL社とのV-22オスプレイ 開発でその技術は継承されています。
2015には陸軍との研究でヒンジレス・ローターの風洞試験も行っています。

FARAプログラムに関しては、2019年4月に最終提案要請が出され、2020年3月に競合2社が選出され試作機の製造、最終選定された1社が生産開始を2024年に行い、2028年までに部隊へ引渡しすることが計画されています。これは既に退役したBell OH-58D Kiowa Warriorsの後継機種となります。

ボーイングの提案がどのような評価を受けるかは分かりませんが、米空軍向けのT-XコンペでボーイングのT-7Aジェット練習機が採用されました。かなりギリギリに発表された機体でしたが、これまでの製造方法以上にCFDソフトウェアやMBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)を積極的に採用した製造方法がかなりのアピールポイントとなっていました。その経験はFARAでも活かされると思いますし、実際に実機を飛行させているシコルスキーなどにキャッチアップできる可能性があります。

参照リンク:
https://www.boeing.com/defense/FARA/index.page#/gallery