Bombardier社航空機関連工場 Spirit社へ売却

Spirit社によるBombardier社航空機関連工場とAsco社買収関連ニュース

 カナダ航空機大手ボンバルディア社は10月31日同社のプレスリリースで、同社の航空機関連工場の一部について米国スピリット社(Spirit AeroSystems)へ売却に合意したと発表しました。今回の売却は長くから買い手を探していた、英ベルファストとカサブランカ(モロッコ)の航空機部品&主翼製造工場とテキサス州のMROメンテナンス部門です。(英ベルファスト工場はエアバスA220主翼工場で、モロッコは航空機部品製造工場。)

売却額は現金約5億ドルと債務分を加えた総額約7億ドル以上となっています。事業譲渡契約のクロージングは2020年上半期と予想されています。

英ベルファスト工場は英領北アイルランドの製造業として最大の雇用を生んでおり、ボンバルディアが売却の意向を示して以来、その動向が注目されていました。

ボンバルディア社としては、同社の航空機活動を北米に絞り、カナダのモントリオール、メキシコ、テキサス州の工場に集約することができ、ビジネスジェット関連と鉄道関連に事業を集中する計画です。

スピリット社本社は米国カンザス州ウィチタで、これ以外にノースカロライナ州、英国スコットランド、マレーシアなどに製造拠点を有しています。non-OEMとして世界最大の航空機部品開発製造会社ですが、その製造品目のラインナップにエアバス向け機体の主翼工場が加わることになります。

スピリット社は、同日のリリースでベルギーの航空機部品製造会社Ascoも買収したと発表しています。Asco社はA320シリーズ、A330、A380、F-35戦闘機関連のコンポーネント製造を行っています。

スピリット社による2社買収で、これまでボーイング関連の機体製造に大きく依存していましたが、エアバス関連の事業と防衛関連に拡大を目指していることが分かります。

ボーイング「一本足打法」の日本航空機産業にとっても、興味深いニュースかと思いましたので、メモしてみました。

参考記事:
https://www.bombardier.com/en/media/newsList/details.binc-20191031-bombardier-announces-definitive-agreement-to-sell-.bombardiercom.html?
https://www.spiritaero.com/release/137051/spirit-aerosystems-reports-q3-2019-results-announces-acquisition-of-select-bombardier-aerostructure-assets-and-adjusted-asco-purchase-price/